栄養要求その他
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:01 UTC 版)
単糖類ではグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースで良好な生長を示し、アラビノースやキシロース、リボースあるいはラムノースでもグルコースの30~65%程度の菌糸体収量を示すが、ソルボースでは菌糸体の生長はほとんど認められない。二糖類および三糖類では、ラクトース、マルトース、メリビオース、トレハロースおよびラフィノースで比較的良好な生長が見られ、セロビオースやスクロース、メレチトースでもグルコースの50%程度の菌糸体収量を示す。また、炭素源としてトレハロースのみを含む培地を用いると、トレハロースは培養中に減少し、代わってグルコースが培地中に生成するが、生成したグルコースは培養開始から60日めには見出されなくなることから、ハナビラタケは、トレハロースをグルコースに変換した後に資化すると考えられている。さらに、可溶性デンプンやグリコーゲンおよびデキストリンの資化性はグルコースよりも高く、ペクチン、ペクチン酸、イヌリン(フルクトースに分解された後に資化される)もグルコースの50-65%量程度の菌糸体収量を示し、本種はグルコアミラーゼを産出してデンプン・グリコーゲン・あるいはデキストリンを加水分解してグルコースに変換した上で資化するものと推定されている。ペクチンやペクチン酸が資化されるに従い、培地中にガラクツロン酸を産生する。 他方、リグニンやセルロースあるいはキチンを栄養源として資化する能力はほとんどないと思われる。 窒素源としては、ポリペプトン、ソイトン、酵母エキス、肉エキス、カザミノ酸などのたんぱく態窒素化合物を好む。塩化アンモニウムや硝酸アンモニウムあるいは硝酸ナトリウムなども窒素源として利用する能力はあるものの、たんぱく態窒素化合物に比べて資化能力は低い。 菌糸体の栄養生長には、無機塩としてリン酸カリウムと硫酸マグネシウム、ビタミンとしてチアミンが不可欠である。また、硫酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、塩化カルシウム、硫酸マンガンなども、欠乏すれば菌糸の増殖に悪影響を与える。チアミン以外の各種ビタミンや核酸関連物質は菌糸体生長に影響を与えず、一方でインドール酢酸やジベレリンその他の植物ホルモンは、菌糸体に対してむしろ生長阻害をもたらすとされている。
※この「栄養要求その他」の解説は、「ハナビラタケ」の解説の一部です。
「栄養要求その他」を含む「ハナビラタケ」の記事については、「ハナビラタケ」の概要を参照ください。
- 栄養要求その他のページへのリンク