林業論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 14:51 UTC 版)
林野庁中部森林管理局長の新島俊哉は以下の主張をしている。 2017年7月時点では、樹齢の分布が10齢級を頂点とする釣り鐘形である。このままでは林業技術が伝承できないばかりか、進歩も止まる。100年はかかるであろう、植え付けから伐採まで毎年一定量の事業がある姿にしていくのが望ましい。その際、3つの点が重要である。まず森林所有者の意識を変える必要がある。所有者の特定が困難な森林が多数存在するとともに、森林からもうけが出ないため、森林を資産と考えない所有者も多い。例えば国有林が、木が高く売れ再造林する価値があるという成功例を示すことなどにより、森林所有者の意識を変えていく必要がある。第二に森林は木材という経済財であるとともに環境財でもあるという認識を持たなければならない。1945年の枕崎台風や1959年の伊勢湾台風など水害で数千人の死者・行方不明者が出たのは、森林が育っていない時期に当たる。主伐をして再造林されなければ裸地が増加し、同様な惨事を繰り返すことになる。それには都市住民に上流域の木をしっかり使うという意識を持ってもらうことが重要である。第三に林業が「業」として成り立つには徹底したコスト縮減が必要ということだ。従来は伐採から植林まで3年かけていたが、最近は1年で完了する伐採・造林一貫作業が広がってきた。さらに木材産業と連携し消費者までのサプライチェーンを築くべきである。国産材は安い外国材に苦戦しているといわれるが、2017年7月時点では国産スギよりも競合する外国のホワイトウッドの方が高い。主伐が増えサプライチェーンが構築できれば、国産材の需要も高まり評価も上がる。要するに、山にお金が戻る仕組みを確立し伐採から再造林への循環を作ることが求められる。
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