東京都区制度の賛否
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 05:54 UTC 版)
このような「特別区」制度の特殊性は、太平洋戦争中の1943年(昭和18年)に旧東京府と旧東京市が、戦時法令である旧東京都制の施行に伴って合併し東京都が設置されるに至ったことに起因する。地方自治法における特別区の規定は、戦前の東京都制における区の制度を手直しした上で「都」に置かれる「区」として承継したものである。 また現在の「特別区」は地方自治法において、普通地方公共団体である市に準ずる権限を有し(第281条第2項)、かつ平成12年の改正で基礎的自治体としての地位を回復したとは言えど(第281条の2第2項)、地方自治法の制定時には「基礎的自治体」として位置付けられていたものが、1952年の法改正によって「都の内部機関」に改められたという歴史的な経過もあり、その地位や権能は現在でも法律によって左右される可能性があることから、日本国憲法において地方自治権を保障された普通地方公共団体である市町村とは比較の対象にならないほどに脆弱である。 つまり現状の特別区は、自治権限こそ以前に比べ拡大してはいるものの、法体系上は未だに普通地方公共団体である市町村と同格ではなく、法律により市に準じた権限を付与された団体という立場であり、いまもなお「東京都制」の影響、つまり「東京都」(=旧東京市)の内部機関としての位置付けを脱してはいない。そのことは、特別区が基礎的自治体であると位置付けられた2000年改正以後の地方自治法でも、特別区の規定を第2編「普通地方公共団体」に移動させず、なお従来どおり第3編「特別地方公共団体」(財産区や事務組合・地方開発事業団など、普通地方公共団体の機関を定める)に置いていることからもうかがえる。
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