村民委員会主任選挙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/06 15:28 UTC 版)
「中華人民共和国の選挙制度」の記事における「村民委員会主任選挙」の解説
中華人民共和国憲法上、村民委員会は住民自治の基層組織と定められている。村民委員会は、住民によって選挙された主任と副主任および委員数名で構成される。この村民委員会の主任(「村長」と呼ばれている)の選挙について、1989年の天安門事件以降は、党の政治的中核論を指導するために、村における党の幹部が「村長」となるように委員数を同人数の候補者が党によって示される「等額選挙(中国語版)」が行われていた。ただし、1987年の「村民委員会組織法(試行)」では、村民委員会の直接選挙を定めていた。天安門事件を挟んだ1991年、吉林省梨樹県双河郷平安村を皮切りに有権者が自由に村民委員会の候補者を推薦する「海選選挙(中国語版)」が行われるようになった。「海選」とは、大海から真珠をすくい上げるという意味からこのような名前がついた。さらに、一つのポストに複数の候補者を立てる「差額選挙(中国語版)」、有権者の投票によって正式な候補者を確定する「予備選挙」のほか、選挙演説、秘密投票、開票作業の公開等の改革も模索された。この選挙改革によって、総人口の60パーセントを占める8億人(2003年度の統計による)の農民が民主主義の実践に参加し、そのことを通じて、政治意識がいくぶん向上してきたと評される。また、優秀な若者等が民主的に「村長」に選出されることも珍しくないとされる。国内外の専門家は村民委員会の直接選挙を「草の根」民主主義の萌芽として積極的に評価している。農村での進展を受けて、直接選挙の拡大への期待と要求が一時期高まった。中央弁公庁・国務院弁公庁による2000年12月の通達は、都市部の社区委員会(従来の居民委員会を再編したもの)の直接選挙を指示したことがある。ただ、近年選挙改革は停滞状態に陥っている。統制力の低下を恐れた中国政府が、直接選挙の拡大に消極的な姿勢を見せ、様々な手段で村民委員会選挙にも介入している。また、村民委員会選挙への宗教や暴力団の介入や、選挙買収といった深刻な問題も発生している。
※この「村民委員会主任選挙」の解説は、「中華人民共和国の選挙制度」の解説の一部です。
「村民委員会主任選挙」を含む「中華人民共和国の選挙制度」の記事については、「中華人民共和国の選挙制度」の概要を参照ください。
- 村民委員会主任選挙のページへのリンク