材質ごとの影響実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 09:40 UTC 版)
「バイオマスエタノール」の記事における「材質ごとの影響実験」の解説
日本では2003年8月に「揮発油等の品質の確保等に関する法律」によってエタノールの混合率が3体積%以下のものまで自動車用のエタノール混合ガソリンとして販売が許可されるようになったが、この3 %という数値は主にアルミ系材料の腐食性が根拠となって決定された。 セルロースとサトウキビのそれぞれを原料とするエタノールでガソリンとの混合度合いを変えて、アルミ片(アルミダイカスト:ADC12)を120 ℃で720時間浸漬状態に置くと、E3と呼ばれる3 %の混合液では2種とも元となったガソリン100 %液と同様に変化が見られなかったが、E10では2種とも黒変して溶解を受けて全体が小さくなってしまった。鉄や亜鉛でも同様の試験が行なわれたが、変色や溶解といった変化は見られず、アルミニウムだけが強く腐蝕された。 燃料ホースなどに使われている材料への影響を確認するために、フッ素ゴム(FKM)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、ニトリル・ポリ塩化ビニルブレンドゴム(NBR/PVC)、エピクロロヒドリンゴム(CO)のゴム6種と、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリアミド(PA11)、ポリアセタール(POM)の樹脂3種に対しても同様の試験が行なわれたが、いずれも膨潤し物性の低下が見られ、100 %ガソリンよりもより強く影響を受けて、特に水素添加ニトリルゴムとエピクロロヒドリンゴムでは膨潤によって体積変化率がE3で+20 %や+12 %、E10では+30 %や+17 %といったぐあいに顕著に大きくなった。これら金属と高分子化合物への影響確認実験では、セルロースとサトウキビの原料の違いによる影響の差異は認められなかった。 自動車メーカーのトヨタでは、CO2削減、化石燃料の消費抑制の観点から、バイオエタノール燃料をガソリンへの混合燃料として幅広く普及させることが有効であるとの考えのもと、既に2006年6月以降に世界各地で生産している全てのガソリンエンジン車において、燃料系部品の材質変更を行うなど、E10への技術的対応を完了している。
※この「材質ごとの影響実験」の解説は、「バイオマスエタノール」の解説の一部です。
「材質ごとの影響実験」を含む「バイオマスエタノール」の記事については、「バイオマスエタノール」の概要を参照ください。
- 材質ごとの影響実験のページへのリンク