木造住宅密集地域とは? わかりやすく解説

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もくぞうじゅうたく‐みっしゅうちいき〔モクザウヂユウタクミツシフチヰキ〕【木造住宅密集地域】

読み方:もくぞうじゅうたくみっしゅうちいき

市街地において、木造住宅密集して建っている地域木密(もくみつ)。

[補説] 東京都では山手線外周部に多く地震・火災時に被害甚大になると予想されることから、都市計画一環として整備検討されている。


木造住宅密集地域

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/24 22:11 UTC 版)

木造住宅密集地域(もくぞうじゅうたくみっしゅうちいき)は、日本都市部木造建築物が密集しているエリアを指し、防災上危険な市街地として対策が行われている。しばしば略され、木密地域(もくみつちいき)とも呼ぶ。

経緯

太平洋戦争後焼け野原となった東京都大阪府市街地では、復興の際都市計画道路の計画が策定されたが、それらの多くは実現せず、無秩序に復興が進み住宅地が密集して広がっていった。その後1995年に発生した阪神・淡路大震災において、木造密集地で大規模火災が発生し、甚大な被害が生じたことから木造密集地域の危険性が認識されはじめるようになった。首都直下型地震が予想される東京都では、特に木造密集地域が山手線外周部に多く、震災が発生すると壊滅的な被害になることから、対策事業に取り組むきっかけとなった。

2011年東日本大震災によってさらに防災意識が高まり、東京都では2012年から一層の木密地域解消を目標に「不燃化10年プロジェクト」が始まった。

東京都の木造地域対策

国土交通省がまとめた「地震時等に著しく危険な密集市街地」では2021年時点で全国111地区中17地区が東京都内に危険な密集市街地があるとされ[1]、2022年に東京都が公表した被害想定では木密地域の火災により2500人以上が死亡すると想定されている[2]

2012年から木密地域不燃化10年プロジェクトと称し、不燃化を強力に推進している。

木密解消にむけて、対策エリアに不燃化特区を指定し、市街地整備を促進している。道路の拡幅や不燃化建て替えの協力者への固定資産税都市計画税の減免などを行っている。

東京都では戦後都市計画決定されていながらも、人口増加による市街地拡大で整備されていない都市計画道路が多数あり、延焼防止など防災上効果の高い主要な未整備の計画道路を「特定整備路線」に指定し、2020年度までの完成を目標に整備を進めた。

事業推進により、2016年には1万3000ヘクタールあったとされる木密地域が2019年には8600ヘクタールに減少している。整備地域の不燃化率は2006年時点で56.2%だったが、2018年時点では64%に上昇している[2]

プロジェクトは2021年に終了したが[3]引き続き取り組む必要があるため取り組みは5年間の延長となった[4]

木造住宅密集地域は2025年時点で約7,100ha、その内危険度が高い地域を整備地域に指定(約6,000ha)、最も危険度が高く集中的に事業を行うべき地域が以下の重点整備地区(約3,350ha)となっている[5]

重点整備地域

2021年に地区を見直し52地区が指定されている[6][7]

  • 東池袋四・五丁目地区
    • 豊島区東池袋地区。荒川線沿線に補助81号線の整備が行われている。道路に面して再開発事業も計画されている。
  • 池袋本町・上池袋地区
    • 豊島区池袋本町地域。特定整備路線である補助82号線と補助73号線の整備を中心に上板橋駅周辺の整備も検討されている。
  • 雑司が谷・南池袋地区
  • 補助26・172号線沿道地区(長崎・南長崎・千早地区
    • 豊島区長崎南長崎東長崎駅周辺地区にあたる。駅北口では再開発事業が予定されている。特定整備路線として補助172号・補助26号の整備が進む。
  • 西新宿五丁目地区
    • 新宿区西新宿の西部において実施されている。地区の北部では3つの再開発事業が行われている。60階建て超高層マンションが建設された。
  • 補助81号線沿道地区
    • 豊島区・北区にまたがる。特定整備路線の補助81号線道路整備にあわせ両側の市街地整備を図っている。
  • 十条駅周辺地区
    • 北区十条駅周辺。十条駅西口では再開発事業が開始され、特定整備路線の補助83号と補助73号の沿道で整備が行われている。
  • 志茂地区
    • 北区志茂周辺。特定整備路線の補助86号線の整備と主要生活道路の整備が行われている。志茂三丁目9番地区防災街区整備事業では住宅集約化が行われている。
  • 赤羽西補助86号線沿道地区
    • 北区赤羽西地域。特定整備路線の補助86号線の整備にあわせ沿道住宅地の建て替えを行う。
  • 荒川二・四・七丁目地区
    • 荒川区荒川地区。特定整備路線補助90号線の整備とゆいの杜あらかわの整備を行っている。
  • 町屋・尾久地区
    • 荒川区町屋西尾久地区。密集市街地内の道路拡幅に取り組んでいる。特定整備路線ではないが補助193号も整備している。
  • 大谷口一丁目周辺地区
  • 大山駅周辺西地区
    • 板橋区大山町大山駅周辺。特定整備路線の補助26号線が中央を貫いている。大山駅の連続立体交差事業や再開発事業も同時に実施されている。
  • 谷中二・三・五丁目地区
    • 台東区谷中地区。東西に防災区画道路を5路線整備する予定。
  • 西新井駅西口周辺地区
    • 足立区梅田・関原・西新井栄町などの西新井駅南部の地区。東西に特定整備路線の補助138号線の整備を行っている。また、防災道路の整備も行っている。
  • 足立区中南部一帯地区
    • 足立区南部の別事業の西新井駅西口周辺地区を除いたエリア、北千住周辺も含む。特定整備路線は補助136号線が東西に整備予定。
  • 四つ木一・二丁目地区
    • 葛飾区四つ木地区。主要生活道路の拡幅、沿線の建て替えを推進する。
  • 東四つ木地区
    • 葛飾区東四つ木地区。生活道路の拡幅整備と建て替え促進事業を行っている。
  • 東立石四丁目地区
    • 葛飾区東立石4丁目地区。主要生活道路4路線の拡幅整備と家屋建て替えを行っている。
  • 堀切二丁目周辺及び四丁目地区
    • 葛飾区堀切地区。主要生活道路5路線の整備と建て替え事業を行っている。
  • 南小岩七・八丁目周辺地区
    • 江戸川区南小岩地区。小岩駅南口周辺の再開発と区画整理、特定整備路線の補助142号線・補助143号線の沿道整備、地区内生活道路の整備を行っている。
  • 松島三丁目地区
    • 江戸川区松島地区。密集地域の道路拡幅と不燃化促進を行っている。
  • 平井二丁目付近地区
    • 江戸川区平井地区。特定整備路線の補助144号線の整備と建て替え支援を行っている。
  • 南小岩南部・東松本付近地区
    • 江戸川区南小岩地区。特定整備路線の補助285号線の整備を中心に行っている。
  • 京島周辺地区
  • 鐘ヶ淵周辺地区
    • 墨田区東向島地区。特定整備路線の補助120号線の整備、主要生活道路の拡幅整備を中心に行っている。鐘ヶ淵駅周辺では再開発事業も検討されている。
  • 押上二丁目地区
    • 墨田区押上二丁目地区。密集地の不燃化推進と、桜橋通り街路事業を行っている。
  • 北砂三・四・五丁目地区
    • 江東区北砂三・四・五丁目において主に不燃化建て替えを推進している。
  • 東中延一・二丁目、中延二・三丁目地区
    • 品川区東中延中延地区。同潤会によって建てられた戸建て密集住宅が中延二丁目旧同潤会地区防災街区整備事業によってマンションとして共同化した。戸建ての建て替えの推進を行っている。
  • 補助29号線沿道地区(品川区)
    • 品川区大崎西大井戸越豊町など。特定整備路線の補助29号線の整備と沿道(両側30mの地域)の不燃化を進めている。
  • 豊町四・五・六丁目、二葉三・四丁目及び西大井六丁目地区
    • 品川区豊町4~6丁目、二葉3・4丁目、西大井6丁目地区。なお中央を貫く、補助29号線沿線は除く。二葉4丁目では共同建て替えを予定している。主に建物の不燃化を促進している。
  • 旗の台四丁目・中延五丁目地区
    • 品川区旗の台4丁目、中延五丁目地区。荏原町駅前地区防災街区整備事業が行われた。不燃化を促進するとともに公園整備を予定している。
  • 戸越二・四・五・六丁目地区
    • 品川区戸越地区。老朽建物の建て替え促進を行っている。なお中央を貫く、補助29号線沿線は除く。地区防災道路の整備も計画している。
  • 西品川二・三丁目地区
    • 品川区西品川地区。主に不燃化建て替えの促進を行っている。
  • 大井五・七丁目、西大井二・三・四丁目地区
    • 品川区大井、西大井地区。不燃化促進や公園整備が予定されている。滝王子通りにおいて都市防災不燃化促進事業も行われている。なお中央を貫く、補助29号線沿線は除く。
  • 放射2号線沿道地区
    • 品川区荏原五反田地区。特定整備路線の放射2号線の整備と合わせて沿道の不燃化を行っている。
  • 補助28号線沿道地区
    • 品川区大井地区。特定整備路線の補助28号線の両側30mの不燃化を行っている。
  • 原町一丁目・洗足一丁目地区
    • 目黒区原町1丁目、洗足1丁目地区。特定整備路線の補助46号線の整備と沿道の不燃化を行っている。
  • 目黒本町五丁目地区
    • 目黒区目黒本町地区。特定整備路線の補助46号線の整備と沿道の不燃化に取り組んでいる。
  • 大森中(西糀谷、東蒲田、大森中)地区
  • 羽田二・三・六丁目地区
    • 大田区羽田地区。生活道路の拡幅整備と、老朽建物の不燃化の促進を行っている。
  • 補助29号線沿道地区(大田区)
    • 大田区東馬込地区。特定整備路線の補助29号線の整備(大田区内のみ)と沿道の不燃化事業を行っている。
  • 太子堂・三宿地区
    • 世田谷区太子堂三宿地区。特定整備路線の補助26号線の整備、三太通りの拡幅と不燃化を推進している。
  • 北沢三・四丁目地区
    • 世田谷区北沢地区。特定整備路線の補助26号線の整備を行っている。茶沢通りの拡幅整備、老朽建物の不燃化を推進している。
  • 太子堂・若林地区
    • 世田谷区太子堂・若林地区。生活道路の整備、老朽建物の不燃化推進を行っている。
  • 北沢五丁目・大原一丁目地区
    • 世田谷区北沢五丁目、大原一丁目地区。密集市街地の不燃化、生活道路整備を行っている。
  • 本町二~六丁目地区
    • 渋谷区本町地区。生活道路の拡幅整備と住宅地の不燃化を実施している。
  • 弥生町三丁目周辺地区
    • 中野区弥生町地区。避難道路を8本整備している。また都営川島町アパート跡地を代替地として活用し、住宅地の不燃化も推進している。
  • 大和町地区
    • 中野区大和町地区。特定整備路線の補助227号線の整備を行っている。また、避難道路の整備と不燃化を実施している。
  • 方南一丁目地区
    • 杉並区方南地区。不燃化建て替えの促進を行っている。

埼玉県の木造地域対策

埼玉県川口市では、危険な密集市街地に挙げられている芝富士地区と芝樋ノ爪地区において、災害時に緊急車両が走行できるよう狭隘道路の拡幅と、住宅建て替えの支援を行っている。

外部リンク

脚注

  1. ^ 地震時等に著しく危険な密集市街地の地区数、面積、地域防災力の向上に資するソフト対策実施状況一覧”. 国土交通省. 2025年4月25日閲覧。
  2. ^ a b 10年間の主な取組と減災効果”. 東京都. 2025年4月25日閲覧。
  3. ^ 都、2021~30年度の防災都市づくり基本方針
  4. ^ 不燃化特区制度と特定整備路線の取組”. 東京都. 2025年4月24日閲覧。
  5. ^ 第2章 防災都市づくりの地域指定・延焼遮断帯の設定等”. 東京都. 2025年4月25日閲覧。
  6. ^ 防災都市づくりの地域指定”. 東京都. 2025年4月25日閲覧。
  7. ^ 木密地域不燃化10年プロジェクト

関連項目


木造住宅密集地域

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/01 00:03 UTC 版)

木構造 (建築)」の記事における「木造住宅密集地域」の解説

大都市圏で古い木造住宅密集し大規模地震時などに火災倒壊深刻な被害予想される地域を、地方自治体は「木造住宅密集地域(木密)」と呼んでいる(国土交通省表現は「地震時等に著しく危険な密集市街地」)。東京都都内特別区首都直下地震備えて不燃化特区」で建て替え促すなど、各自治体と国が解消目指し対策進めている。

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木造伎楽面重要文化財。奈良時代。木造伎楽面29面と乾漆伎楽面1面の計30面が重要文化財に指定され、木造伎楽面残欠5片と乾漆伎楽面残欠7片が附指定となっている。伎楽は推古天皇20年に百済人の味摩之が日本へ伝えたとされる仮面舞踏劇である。天平勝宝4年の東大寺大仏開眼会でも伎楽が演じられ、その時に使用した伎楽面が正倉院と東大寺とに残っている。正倉院に残る伎楽面は171面であり、東大寺所蔵の伎楽面30面と断片7面分も正倉院所蔵分と一連のものである。前述のように、30面のうちの1面と断片のうち4面分のみが乾漆造で他はすべて木造である。伎楽のストーリーについて正確なことはわかっていないが、狛近真の『教訓抄』という書物によると、恐ろしい顔をした「崑崙」が「呉女」という美女に懸想して卑猥なふるまいをするが、「力士」にこらしめられる、という滑稽なストーリーであったと推定される。『西大寺資財帳』によると、使用される面は治道、師子、師子児、呉公、金剛、迦楼羅、崑崙、呉女、力士、波羅門、太孤父、太孤児、酔胡王、酔胡従の14種類、23面であった。これら14種類の面の名称が、現存する伎楽面のどれに該当するのかについては、昭和戦前期から研究が積み重ねられてきたが、一部の面については名称に混乱が生じており、『奈良六大寺大観 東大寺二』の解説は、東大寺所蔵の30面がそれぞれいずれの面種に該当するかの特定を避けている。成瀬正和の分類によれば、30面の内訳は、治道1面、童子の面5面、呉公1面、金剛1面、迦楼羅1面、崑崙4面、力士2面、波羅門3面、太孤父4面、酔胡王1面、酔胡従7面となっている。30面の中には面裏に天平勝宝4年の年紀や面の作者名を墨書するものもあり、作者としては捨目師、基永師、延均師、相李魚成の4名の名が判明している。木造伎楽面

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