月光 (鬼束ちひろの曲)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/26 15:34 UTC 版)
概要
2000年8月9日に発売された。作詞・作曲は鬼束ちひろ、編曲は羽毛田丈史。表題曲は、抑圧からの解放を願うミディアム・バラードである[4]。
「月光」はテレビ朝日系ドラマ「トリック」の主題歌に起用された。ドラマがヒットしたこともあり、オリコンウィークリーチャート初登場30位から11位までランクアップ、10か月近くもチャート内にランクインするロングヒットを記録した。累計売上は50万枚以上を、出荷枚数にして60万枚以上を記録している。これはシングル作品としては自己最高である。また当楽曲は音楽配信でもロングヒットを続けており、日本レコード協会からダブル・プラチナの有料音楽配信認定(50万ダウンロード以上)を受けている。 また、YouTubeで公開されたミュージックビデオは、2025年2月27日に1億再生を突破した。
もともとこの作品は2枚目のシングルとしてリリースする予定はなかったが、ドラマのヒットにより急遽シングル化されることとなった(詳細はシングル「Cage」の項を参照のこと)。
2014年に上映された映画『トリック劇場版 ラストステージ』のCMにも流されている。
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楽曲解説
- 月光
- 吉田真佐男と土屋望が出会い「月光」が生れる[5]。
- ドラマタイアップに起用された事により、急遽シングルリリースが決定したため、全作品中最も制作期間が短い。後に羽毛田丈史はベストアルバム『the ultimate collection』のライナーノーツにおいて、「楽曲のアレンジが3パターン、ピアノのみ、ピアノとストリングスカルテット、バンド、それぞれ存在した。ピアノだけでは強烈な歌詞には脆弱で、バンドでは楽曲の持つ美しさや儚さが損なわれる恐れがあるため、ピアノとストリングスカルテットを採用した」と公言しており、短い制作期間の中でも楽曲の世界観を見出し、こだわりを持って制作されたことが窺える。
- バンドバージョンはボツとなったが、ピアノのみのバージョンは後に1stアルバム『インソムニア』に「月光 (album version)」として収録されることとなる。その他のバージョンとして、ドラマのエンディング用に編集され使用された「月光 〜TV86〜」はドラマのサウンドトラックに収録されている。
- イントロのピアノの伴奏部分(6秒)は、羽毛田丈史の創作である。
- タイトルについて、「アレンジが決まって「月の光が射してるみたいだな」と思って「月光」って付けたんです」と語っている[6]。以前のタイトルは「GOD'S CHILD」や「聖痕」だった。
- 歌詞に関しては、「その当時の自分の心境そのままを表した形となっていて、歌詞の一部で切り取って見ても当時の自分なりの意地を持って、その時の自分に自信が持てなかった事や、居場所が分からずにいたことを表したかったんだと思います」・「たびたび登場する『腐敗』という単語に至っては、若さゆえであり、当時のプロデューサーと一悶着があった」と語っている[7]。
- この楽曲のヒットにより鬼束=月光というイメージが定着してしまったせいで、本人は後に「この曲は嫌い」と、音楽雑誌や『Pretty Witch Complete Book』においても発言したことがある。しかし、一方では、「私の名前を世に知らしめてくれた良い曲。自分の曲を子供だと思っていて、沢山いる子供の中の一人になりますね。」と語ってもいる[7]。なお、本曲は複数のアーティストによってカバーされている(後述参照)
- 2020年2月放送の音楽活動20周年を記念する特別番組のNHKの「Songs」において、鬼束自身の各楽曲にはカラーリングを決めていると証言し、本曲のカラーはジャケット写真の衣装の色と同じ「紫」であるとインタビューで語った。続いて、「1stシングルの『シャイン』はあらかじめきめられていたが、この曲を発表するまで、プロデュサーから7曲つくってと頼まれ、そのうちの1曲である」(未発表の曲が6曲ある)とも語った。
- Arrow of Pain
- 2ndアルバム『This Armor』に収録され、後に映画『グローウィン・グローウィン』の挿入歌として起用されることとなった。
収録曲
- CD[8]
- 全編曲:羽毛田丈史
- 月光 (5:09)
- テレビ朝日系金曜ナイトドラマ「トリック」主題歌(2000)
- 東宝系映画「トリック-劇場版-」主題歌(2002)
- 東宝系映画「トリック-劇場版-ラストステージ」主題歌(2014)
- FOXチャンネル「ジャーニーマン 時空を越えた赤い糸」日本語版イメージソング(2009)
- 朝日放送「ミナミ極楽堂」エンディングテーマ
- 朝日放送「百万馬力」エンディングテーマ
- 朝日放送「おもしろレンタルビデオ スピルバーガー」エンディングテーマ
- Arrow of Pain (5:15)
- 映画「グローウィン・グローウィン」挿入歌(2002)
- 月光 (Inst.) (5:09)
チャート成績
『月光』は、オリコンで最高順位11位、累計売上は56万枚以上を記録した。 2000年のオリコンシングル年間ランキングでは、38.4万枚を売り上げ、71位にランクインした。 初登場30位、初動売上は1.1万枚ほどだったが、6週目で10万枚、9週目で20万枚、12週目で30万枚、16週目で40万枚、24週目で50万枚を突破した。 10か月近くチャートにランクインした。
売上推移
発売24週目(累計売上枚数50万枚達成)までのオリコンによる集計
登場週 | 順位 | 週間売上枚数 | 累計売上枚数 |
---|---|---|---|
2000年8月21日付 | 30 | 11,780 | 11,780 |
2000年8月28日付 | 34 | 8,790 | 20,570 |
2000年9月4日付 | 18 | 18,940 | 39,510 |
2000年9月11日付 | 15 | 20,760 | 60,270 |
2000年9月18日付 | 13 | 31,510 | 91,780 |
2000年9月25日付 | 14 | 36,620 | 128,400 |
2000年10月2日付 | 11 | 36,220 | 164,620 |
2000年10月9日付 | 13 | 34,720 | 199,340 |
2000年10月16日付 | 13 | 28,750 | 228,090 |
2000年10月23日付 | 13 | 24,620 | 252,710 |
2000年10月30日付 | 12 | 26,380 | 279,090 |
2000年11月6日付 | 17 | 26,410 | 305,500 |
2000年11月13日付 | 16 | 31,740 | 337,240 |
2000年11月20日付 | 19 | 23,370 | 360,610 |
2000年11月27日付 | 18 | 24,620 | 385,230 |
2000年12月4日付 | 24 | 16,390 | 401,620 |
2000年12月11日付 | 26 | 15,180 | 416,800 |
2000年12月18日付 | 34 | 9,490 | 426,290 |
2000年12月25日付 | 34 | 7,630 | 433,920 |
2001年1月1日付 | 21 | 9,910 | 443,830 |
2001年1月15日付 | 17 | 39,150 | 482,980 |
2001年1月22日付 | 18 | 12,570 | 495,550 |
2000年1月29日付 | 23 | 9,860 | 505,410 |
ミュージックビデオ
2011年6月24日に、YouTubeで公開された「月光」のミュージックビデオは、2019年5月21日に5000万再生、2025年2月27日に1億再生を突破した。
曲名 | ミュージックビデオ |
---|---|
月光 | 「月光」 - YouTube |
月光 (album version) | 「月光(album version)」 - YouTube |
収録アルバム
- 月光
- 『インソムニア』
- 『the ultimate collection』
- 『SINGLES 2000-2003』
- 『"ONE OF PILLARS" 〜BEST OF CHIHIRO ONITSUKA 2000-2010〜』
- 『GOOD BYE TRAIN 〜ALL TIME BEST 2000-2013』
- 『REQUIEM AND SILENCE』
- Arrow of Pain
カバー
楽曲 | リリース | アーティスト | 収録作品 | 備考 |
---|---|---|---|---|
月光 | 2001年7月18日 | 小原孝 | カバーアルバム「TRY TRY TRY [ピアノよ歌え]スペシャル*J-POP特集2001*」 | |
2008年4月23日 | NICOTINE | カバーアルバム「COVER OF IT ALL -JAPANESE BEST SHITS-」[9] | ||
2009年3月25日 | ベントレー・ジョーンズ | カバーアルバム「TRANS//LATION 〜J-POP DANCE COVER〜」[10] | ||
2010年6月23日 | lela | アルバム「樹海の月」[11] | ||
2010年4月20日 | 徳永英明 | カバーアルバム「VOCALIST 4」 | ||
2010年6月16日 | SoulJa | アルバム「Letters」 | 「月光 〜GOD'S CHILD〜 feat.鬼束ちひろ」 | |
2012年11月7日 | Ms.OOJA | カバーアルバム「WOMAN -Love Song Covers-」 | ||
2015年1月1日 | 96猫 | アルバム「Brand New...」[12] | ||
2015年8月1日 | 上新功祐 | カバーアルバム『ウタモノ2 -COVER SONGS-』 | ||
2017年11月22日 | 山猿 | カバーミニアルバム『えんむすび』[13] | ||
2019年4月15日 | 富士葵 | カバーアルバム「声 〜Cover ch.〜」 | ||
2021年9月10日 | アオルタ(CV:平流エレン) | カバーアルバム「NEON SKY」 | 音楽プロジェクト『AKROGLAM』関連曲 |
関連項目
- あばれる君 - お笑い芸人。BGMとして当曲を使用しているコントがある。
脚注
- ^ 2014年5月 認定
- ^ “Billboard Japan Hot 100”. Billboard Japan (2014年1月15日). 2023年8月27日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Top Singles Sales”. Billboard Japan (2024年11月6日). 2024年12月26日閲覧。
- ^ “月光| 鬼束ちひろ”. EMI Records Japan. 2013年6月29日閲覧。
- ^ [1][2]
- ^ [3]
- ^ a b “鬼束ちひろ、『月光』歌詞誕生秘話「元の自分に自信がなくて」”. サンケイスポーツ (2020年2月2日). 2024年7月28日閲覧。
- ^ “鬼束ちひろ/月光”. Tower Records. 2021年7月1日閲覧。
- ^ “NICOTINE、初の日本語カヴァー集『COVER OF IT ALL-JAPANESE BEST SHITS-』を4月23日にリリース”. Tower Records. 2021年8月1日閲覧。
- ^ “Bentley Jones/Trans-Lation”. Tower Records. 2021年8月1日閲覧。
- ^ “lela/樹海の月”. Tower Records. 2021年8月1日閲覧。
- ^ “歌い手96猫、ニューアルバムで鬼束ちひろの名曲を熱唱”. 音楽ナタリー (2014年11月11日). 2017年3月5日閲覧。
- ^ “山猿 カバーアルバム『えんむすび』ビジュアル&収録曲解禁”. Billboard JAPAN. 2023年2月20日閲覧。
外部リンク
「月光 (鬼束ちひろの曲)」の例文・使い方・用例・文例
- 雲間から明るい月光が差した。
- 島は月光の中に黒々と見えた。
- 私達は、春の夜、月光を浴びた桜の優美さに心を打たれる。
- 月光は水面を明るく照らした。
- 月光に輝やく穏やかな湖水.
- 月光のもとで.
- 淡い月光を受けて.
- 月光が池の水に揺らめいた.
- 壁は月光を浴びて白く見えた.
- 銀白色の月光.
- 真珠が月光を受けてきらめいた.
- 月光が部屋に差し込んできた.
- 木々は月光を受けて長い影を落としていた.
- 「月光の曲」は聞き覚えでなんとかピアノで弾ける.
- 湖は月光できらきらしていた.
- 月光が湖水にチラチラする
- 月光煌々
- 晧々たる月光
- 月光を浴びる
- 月光が白壁に影をさす
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