最高裁が破棄差戻し判決
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「福山市独居老婦人殺害事件」の記事における「最高裁が破棄差戻し判決」の解説
最高裁判所第二小法廷は1999年(平成11年)7月21日、国立事件および本事件について、それぞれ上告審の口頭弁論を開くことを決めた。通常、最高裁で弁論が開かれる刑事事件は、控訴審で死刑判決が言い渡された事件か、何らかの形で控訴審の結論が見直される事件とされており、控訴審で無期懲役判決が言い渡された事件について弁論が開かれる事例は異例だった。このため、「最高裁が死刑と無期懲役の境目など、死刑選択基準に関する新たな判断を示す可能性がある」と注目された。 本事件の審理は河合伸一裁判長以下、第二小法廷所属の最高裁判事4人(福田博・北川弘治・梶谷玄)が担当した。最高裁第二小法廷(河合伸一裁判長)は1999年11月15日に口頭弁論を開き、同日の弁論で検察官は「無期懲役の仮釈放中に同様の重大犯罪を犯した者は例外なく死刑となっており、一・二審判決はこれまでの判例に違反する」と主張した。一方、弁護人は「一・二審判決は永山基準を踏まえて結論が出されており、検察側の主張は上告理由にならない量刑不当に過ぎない」と反論し、上告棄却を求めた。 1999年12月10日に上告審判決公判が開かれ、最高裁第二小法廷(河合伸一裁判長)は検察側の上告を認めて広島高裁の無期懲役判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻す判決を言い渡した。最高裁による無期懲役判決の破棄差戻判決は、「永山基準」が示された連続射殺事件の上告審判決への判決(1983年7月 / 被告人:永山則夫)以来16年ぶりであった。同小法廷は判決理由で、「本事件は犯行前の準備から、計画性が低かったとはいえない。Nは恵まれた環境にいながら、パチンコで借金を重ねた挙句に犯行におよんでおり、遺族への慰謝の措置も講じておらず、矯正の余地は認められない」と指弾したほか、永山判決以降に無期懲役の仮出所中に強盗殺人を犯した被告人はいずれも死刑判決を受けていたことを踏まえ、「被告人Nの情状は、死刑を回避し無期懲役を選択すべきほど悪質さの程度が低いとはいえない。殺害された被害者数は1人だが、被告人Nの刑事責任は重大で、特段の事情がない限りは死刑を選択するほかない」と判断した。
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