映画撮影におけるモーションブラー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 09:40 UTC 版)
「モーションブラー」の記事における「映画撮影におけるモーションブラー」の解説
古くからある特撮手法である、1コマごとに撮影した静止画を繋げて動きを表現するストップモーション・アニメーション(コマ撮り)においては、撮影されたフィルム(ビデオ)を普通に再生すると、一般的な動画と比較した場合にどこかカクカクとした『ぎこちなさ』を感じる。なぜなら、実際に動いている物体を撮影した場合に必ず生じるはずの「ブレ」がないために、見ている人間が(意識する、しないにかかわらず)ブレの無いことを見極めてしまうために、違和感を持ってしまうのである。したがって、撮影した画像に対してこのモーションブラーをなんらかの方法で加え、再生した際に自然な動きのように見せる方法が模索されていた。 特撮制作会社のインダストリアル・ライト&マジックは、1980年公開の「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」で雪の惑星ホスに棲息する哺乳型生物トーントーンや四足歩行兵器AT-ATの特撮で、低速度撮影(シャッター速度を落として故意に被写体のブレを生じさせる)と、動きをコンピュータ制御したカメラ(モーション・コントロール・カメラ)との併用によって、カメラの前を通過する宇宙船のスピード感を表現することに成功し、特殊合成撮影の新次元を開拓した。 これを応用・発展させた手法が、1980年の映画「ドラゴンスレイヤー」で初めて試みられた“ゴー・モーション”である。従来のストップモーションにおいては、支柱に乗った操り人形を操演担当者が手で動かして一コマずつ撮影していたのだが、本作ではコンピュータ制御の可動支柱を使用し、人形を動かしながら低速度撮影してブレを生じさせることにより、画期的なリアリティを表現することに成功している。ただし、支柱をマット合成で消去するなどの手間がかかるのが難点で、普及には至らなかった。 映画『ジュラシックパーク』では、当初フィル・ティペットによるストップモーションアニメに、CGのモーフィング技術を応用してモーションブラーを追加する方法で動く恐竜の映像を製作する予定であったが、CG技術の進歩によって劇中に登場する恐竜はフルCGのものに取って代わられる事となった。 今日のCGアニメーションにおいてもモーションブラーの再現は重要であり、多くのCGアニメーション制作ソフトウェアには効率よくブラーを生成する機能が搭載されている。
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