映画技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 12:19 UTC 版)
黒澤はカラー映画には慎重な態度を取り、『赤ひげ』までの全作品はモノクロで撮影した。ただし、『天国と地獄』のワンシーンでは煙突の煙に着色してパートカラーにする試みをしている。黒澤はカラーに踏み切らなかった理由について、映画の色彩が絵画的な色彩とは程遠く、自分の考える色彩を表現することができないからだとしている。照明技師の石井長四郎と森弘充は、黒澤が重視するパンフォーカス撮影はカラー映画では難しく、そのためにカラーに踏み切らなかったとしている。黒澤初の全編カラー映画は『どですかでん』で、以後の作品はすべてカラーで撮影した。 黒澤作品の画面サイズは、『どん底』まではスタンダードサイズ(画面比率は1対1.33)だったが、黒澤は画面が狭すぎるスタンダードサイズに不満があり、『隠し砦の三悪人』以降はシネマスコープ(画面比率は1対2.35)を採用した。黒澤は同作について、「最初のシネスコ・サイズで大きな画面にいろいろ入るので、おもしろくて思う存分撮った」と述べている。『デルス・ウザーラ』では初めて70ミリフィルムを使用したが、『影武者』以降の作品はすべてビスタサイズ(画面比率は1対1.66)で撮影した。撮影監督の斎藤孝雄によると、黒澤は画面全体を埋めなければ気が済まない人で、シネマスコープの広い画面を埋めるのが大変になったことからビスタサイズに変更したという。
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