明治民法~戦後の民法改正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 14:41 UTC 版)
「行為能力」の記事における「明治民法~戦後の民法改正」の解説
1896年(明治29年)施行の民法(いわゆる「明治民法」)では、無能力者(行為能力が制限される者)として、以下の4種類を規定していた。 未成年者 禁治産者 準禁治産者 妻 このうち、未成年者は明治民法の時点ですでに現行法とほぼ同趣旨の規定が置かれていた。禁治産者は現行法の成年被後見人、準禁治産者は被保佐人にそれぞれ相当するとされ、後述の成年後見制度の開始まで制度が続けられた。妻については明治民法に特有の規定であり、その第14条で以下のように規定していた。 第14条 妻カ左ニ掲ケタル行為ヲ為スニハ夫ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス第十二条第一項一号乃至第六号ニ掲ゲタル行為ヲ為スコト 贈与若クハ遺贈ヲ受諾シ又ハ之ヲ拒絶スルコト 身体ニ羈絆ヲ受クヘキ契約ヲ為スコト 前項ノ規定ニ反スル行為ハ之ヲ取消スコトヲ得 おおむね準禁治産者に近い行為能力の制限が定められ、また営業に関しては未成年者に類似した規定(夫の許可を要する旨の第6条及び許可を受けた旨の登記(妻登記)を定めた商法第5条)が設けられた。 無能力者とされたのはあくまで「妻」(婚姻中の女性)であり、未婚の女性や夫と離別・死別した女性は行為能力が認められていた。妻を無能力者とする条項は当時からおおむね不評であり、1927年(昭和2年)の臨時法制審議会では政府の諮問に対し廃止も含めた答申を出している。そして戦後の民法改正により妻を無能力者とする規定は削除されている。
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