日本開闢神話とポリネシア創世神話
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「日本の神話学」の記事における「日本開闢神話とポリネシア創世神話」の解説
昭和6年(1931年)、松本信廣は『日本神話の研究』の中で、ローランド・ディクソンがポリネシアを分類するために設定した2つの図式「進化型」と「創造型」を用い、日本開闢神話をポリネシア創世神話の「進化型」と「創造型」の複合形であり、イザナギ・イザナミ神話から以降は「創造型」の形式を受け継いでいるものではないかとの説を発表した。 進化型とは、「系図型」ともいわれ、最初独化神が連続し、これが宇宙の進化の各段階を象徴し、後に夫婦神が現れて、最後に生まれた陰陽二神より万物が誕生したという筋の神話の型である。 創造型とは、最初神々は天上の世界に住み、その下には広々とした大海が横たわっているのみである。そこへある神が石を投げ込むと、それが最後には大地となり、その上に天上の者が下り、ついで人間が現れるという筋の神話の型である。 なお、松本はポリネシアと日本神話を比較するうえで、琉球の神話も重要視し、琉球の古神話がイザナギ・イザナミ神話の一異体であり、日本神話が琉球のそれを中間において、遠く南方の創造型神話と一脈の関連を持っているとした。松本による日本神話と汎太平洋神話との比較は、日本の比較民族学上の定説になっている。 また、岡正雄による日本の宇宙開闢神話の研究は、日本神話の出自=系譜に関する歴史民族学的な研究を活発化し、その後、大林太良によって具体的展開を見ることになる、大林によれば、開闢神話以外のオオゲツヒメ・モチーフや海幸彦・山幸彦モチーフも南西諸島の神話に存している。 その他、以下の事例がこれまでに指摘されている。 イザナギが黄泉の国から帰ってきたときに筑紫の日向にておこなった禊のときに左目を洗うとアマテラス(太陽)が、右目を洗うとツクヨミ(月)が誕生したという話の類似例としては、中国神話において創造神たる盤古の死体のうち左目が太陽に、右目が月に化生したとされる話が見られる。
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