日本調剤とは? わかりやすく解説

日本調剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/17 09:24 UTC 版)

日本調剤株式会社
NIHON CHOUZAI Co.,Ltd.
種類 株式会社
機関設計 監査等委員会設置会社
市場情報
東証プライム 3341
2004年9月17日上場
本社所在地 日本
108-0014
東京都港区5丁目33番11号
田町タワー9階
北緯35度38分49.2秒 東経139度44分56.2秒 / 北緯35.647000度 東経139.748944度 / 35.647000; 139.748944座標: 北緯35度38分49.2秒 東経139度44分56.2秒 / 北緯35.647000度 東経139.748944度 / 35.647000; 139.748944
設立 1980年3月7日
業種 小売業
法人番号 9010001064753
事業内容 保険調剤薬局チェーンの経営
代表者
  • 代表取締役会長 三津原博
  • 代表取締役社長 小城和紀
資本金
  • 39億5300万円
(2025年3月31日現在)[1]
発行済株式総数
  • 3104万8000株
(2025年3月31日現在)[1]
売上高
  • 連結: 3605億1200万円
  • 単独: 3156億1400万円
(2025年3月期)[1]
営業利益
  • 連結: 62億3900万円
  • 単独: 56億9300万円
(2025年3月期)[1]
経常利益
  • 連結: 69億1500万円
  • 単独: 70億2800万円
(2025年3月期)[1]
純利益
  • 連結: 13億9100万円
  • 単独: 13億1300万円
(2025年3月期)[1]
純資産
  • 連結: 590億9700万円
  • 単独: 442億8200万円
(2025年3月31日現在)[1]
総資産
  • 連結: 1971億0500万円
  • 単独: 1571億9000万円
(2025年3月31日現在)[1]
従業員数
  • 連結: 6,063人
  • 単独: 4,798人
(2025年3月31日現在)[1]
決算期 3月31日
会計監査人 有限責任監査法人トーマツ[1]
主要株主
  • 三津原庸介 22.17%
  • マックスプランニング 19.48%
  • 三津原博 16.01%
  • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.55%
  • 日本調剤従業員持株会 3.22%
  • 三津原陽子 2.67%
  • MSIP CLIENT SECURITIES 1.99%
  • 姚恵子 1.80%
  • JPモルガン証券 0.74%
  • INTERACTIVE BROKERS LLC 0.58%
  • (2025年3月31日現在)[1]
主要子会社 #関連会社」参照
関係する人物 三津原博(初代社長)
外部リンク www.nicho.co.jp
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日本調剤株式会社(にほんちょうざい、: NIHON CHOUZAI Co.,Ltd.[2])は、東京都港区に本社を置く保険調剤薬局チェーン企業。東京証券取引所プライム市場上場企業[3]

概要

調剤薬局チェーン大手。全都道府県に調剤薬局を出店、処方せんでの調剤を行う調剤薬局専業である。約6割が大病院門前を中心とする門前薬局タイプ、残りが地域密着型面薬局、医療モール型薬局、病院敷地内薬局のタイプ。グループ理念として「すべての人の『生きる』に向き合う」を掲げる。

同社監修のJPラーニングは全国どこにいても薬剤師の知識・技能を修得できるeラーニングシステムで、同社以外の薬剤師も利用している。より多くの薬剤師に学術発表の機会を提供することを目的として2016年より全国規模での社内学術大会を開催。2019年4月より専門薬剤師資格取得に対し手当を支給するなど、薬剤師教育に熱心な企業といわれる。

また、社内システムを自社開発するなどITの活用にも積極的で、2014年10月にはスマートフォンアプリの「お薬手帳プラス」をリリースした。本アプリは服薬情報の管理に加え、飲み忘れ防止機能、処方せん送信機能、家族の服薬情報一元管理、つながる(薬局とのコミュニケーション機能)などユーザーの健康管理をサポートする機能を備える。アプリ会員数は2022年2月には100万人を突破、2024年8月に200万人を突破し、さらに増加している。[4]2018年8月にオンライン服薬指導の事業を認可され、[5]2020年9月にはオンライン服薬指導を行うシステム「日本調剤オンライン薬局サービス NiCOMS」を自社開発し、全国の同社店舗で運用している。

2024年9月、「長期ビジョン2035」を発表。財務目標としては、資本収益性と成長性の指標を掲げる。資本収益性の指標として、2035年度にROE15%、ROIC15%を目指すとしている。成長性の指標としては、売上高年平均成長率10%以上、EBITDA年平均成長率10%以上を目指している。連結営業利益としては2035年に400億から500億円の目標を掲げる。

サステナビリティ経営を推進しており、持続可能な社会への貢献と継続的な企業価値向上を目指している。経営の重要課題である気候変動への対応やサーキュラ―エコノミーへの寄与など、環境分野への取り組みを進めている。さらに、人的資本経営やコーポレートガバナンスの強化に取り組んでいる。

調剤薬局事業のほかに、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の供給にも進出している。2005年に子会社「日本ジェネリック株式会社」を設立。ジェネリック医薬品使用率は2024年3月において平均89.3%に達している。その他のグループ企業として、業界初の調剤薬局が母体となった薬剤師専門人材会社としてメディカルリソース、医療関連情報提供・コンサルティング業務を手がける日本医薬総合研究所がある。

沿革

  • 1980年昭和55年)
    • 3月 - 調剤薬局の経営を目的として、北海道札幌市日本調剤株式会社を設立。
    • 4月 - 第1号店として、札幌市中央区に日本調剤山鼻調剤薬局を開局。
  • 1987年(昭和57年)8月 - 東京支店開設。
  • 1993年平成5年)10月 - 横浜支店開設。
  • 1994年(平成6年)
    • 1月 - 東北支店開設。
    • 1月 - 子会社として宮城日本調剤株式会社(現・メディカルリソース)を設立。
  • 1995年(平成7年)4月 - 本社を東京都に移転。札幌支店、九州支店開設。
  • 2000年(平成12年)
    • 3月 - 宮城日本調剤の商号、目的を変更し、日本調剤ファルマスタッフ株式会社を開業。
    • 10月 - 大阪支店開設。
  • 2001年(平成13年)4月 - 名古屋支店、広島支店開設。
  • 2004年(平成16年)
  • 2005年(平成17年)1月 - 子会社として日本ジェネリック株式会社を設立。
  • 2006年(平成18年)
    • 9月 - 東京証券取引所1部に上場。
    • 10月 - 子会社として株式会社メディカルリソースを設立。
  • 2007年(平成19年)11月 - 本社をグラントウキョウノースタワーへ移転。
  • 2008年(平成20年)7月 - 日本調剤ファルマスタッフにメディカルリソースを統合、株式会社メディカルリソースに商号変更。
  • 2010年(平成22年)
    • 日本ケミファとの提携を解消[6]
    • 6月 - 薬局店舗数が300店舗突破[7]
  • 2011年(平成23年)3月 - 国内全都道府県での出店を達成。
  • 2012年(平成24年)
    • 1月 - 薬局店舗数が400店舗を突破。
    • 1月 - 子会社として株式会社日本医薬総合研究所を設立。
  • 2013年(平成25年)
    • 東京国税局から、約21億円の申告漏れを指摘され、修正申告を行う[8]
    • 4月 - 長生堂製薬株式会社の株式を取得し、子会社化。
    • 7月 - 「IT Japan Award2013特別賞」を受賞。
  • 2014年(平成26年)
    • 電子お薬手帳「お薬手帳プラス」運用開始[9]
    • 10月 - 薬局店舗数が500店舗突破。
  • 2015年(平成27年)11月 - 神奈川県未病事業に参加[10]
  • 2016年(平成28年)
    • 2月 - 「リクナビNEXT」主催「グッド・アクション」現場活性化部門を受賞[11]
    • 8月 - 横須賀市ジェネリック医薬品推奨薬局に選定[12]
    • 8月 - 月間平均残業時間30時間以下企業で株価上昇率が高い企業ランキングで第1位[13]
    • 10月 - 水野薬局(日本初の調剤薬局水野薬局)を子会社化。[14][15]
  • 2017年(平成29年)
    • 2月 - 第一生命グループと業務提携。
    • 5月 - 第一生命グループと日本調剤、共同店舗の営業開始
  • 2018年(平成30年)
    • 1月 - 薬剤師の育成を目指し専門性を評価・推進する新制度「薬剤師ステージ制度“JP-STAR”」を構築
    • 2月 - 倉敷中央病院内にセルフメディケーションを推進するヘルスケアショップ「NICHO+くらしき」をオープン
    • 7月 - 調剤薬局業界で初めて「DBJ 健康経営(ヘルスマネジメント)格付」取得
    • 12月 - 「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018」企業部門(1,000人以上の部)で第10位に入賞[16]
  • 2019年(令和1年)
    • 6月 - 代表取締役社長交代 三津原庸介社長就任
  • 2020年(令和2年)
    • 3月 - 創業40周年
  • 2022年(令和4年)
    • 4月 - 日本調剤グループ理念制定 日本調剤株式会社、東京証券取引所プライム市場に移行
  • 2024年(令和6年)
    • 5月 - 代表取締役社長交代 笠井直人社長就任
    • 9月 - 長期ビジョン2035発表
  • 2025年(令和7年)

事案

  • 2021年(令和3年)10月、同社の連結子会社・長生堂製薬(本社・徳島県)は、同年春に医薬品の経年劣化に関する検査で不正が発覚し、徳島県が立入検査を実施した結果、10月11日付で業務停止と業務改善の命令を出されたと発表した。県による一連の調査で10年以上も前から手順書とは異なる順番で薬を製造していたことも明らかになり、県は厳しい行政処分を下した[18]。10月14日、日本ジェネリック製薬協会は会員会社である長生堂製薬株式会社に対し、正会員の資格停止(5年間)の措置を決定したと発表[19]。10月21日、日本調剤は長生堂製薬の全株式を、同じく連結子会社である日本ジェネリックに譲渡し、長生堂を日本ジェネリックの完全子会社にすると発表した[20]

関連会社

脚注

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k 日本調剤株式会社『第45期(自 2024年4月1日 - 至 2025年3月31日)有価証券報告書』(レポート)2025年6月26日。 
  2. ^ 日本調剤株式会社 定款 第1章第1条
  3. ^ フィスコ企業調査レポート
  4. ^ "数字でみる日本調剤"2019年4月23日閲覧
  5. ^ "日本調剤、オンライン服薬指導の認可取得"日本経済新聞(2018年8月16日)
  6. ^ 日本ケミファ、日本調剤との提携解消 調剤子会社と競合」『日本経済新聞』2010年8月27日。
  7. ^ 【日本調剤】グループ店舗数が300店舗を突破‐今期は連結1000億円へ積極展開」『薬事日報』2010年6月25日。
  8. ^ 日本調剤が21億申告漏れ 子会社支援を寄付金認定”. 2014年1月13日閲覧。
  9. ^ 【日本調剤】スマホやPCで服薬や健康管理‐自社開発のお薬手帳を来月導入”. 薬事日報. 2014年9月22日閲覧。
  10. ^ 神奈川県がICTモデル事業に日本調剤の電子お薬手帳を活用|薬事日報ウェブサイト” (2016年2月8日). 2024年10月30日閲覧。
  11. ^ リクナビNEXT グッドアクション2015”. next.rekunabi.com. 2024年10月30日閲覧。
  12. ^ 【横須賀市】ジェネリック薬推奨薬局、日本調剤の7店舗が認定|薬事日報ウェブサイト” (2016年9月5日). 2024年10月30日閲覧。
  13. ^ Vorkers調査レポートvol.28「残業と株価の相関関係」”. 2024年10月30日閲覧。
  14. ^ 日本調剤、初の調剤薬局「水野薬局」買収”. 日本経済新聞. 2024年10月30日閲覧。
  15. ^ 【日本調剤】「水野薬局」を子会社化‐調剤事業のシナジー期待|薬事日報ウェブサイト”. 2024年10月30日閲覧。
  16. ^ 日本最大規模の女性アワード「Forbes JAPAN WOMEN AWARD..(日本調剤株式会社 プレスリリース)”. 財経新聞. 2024年10月30日閲覧。
  17. ^ 株式会社AP86による 当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ』(プレスリリース)日本調剤株式会社、2025年7月31日https://www.nicho.co.jp/corporate/ir/news/auto_20250730524406/pdfFile.pdf2025年8月16日閲覧 
  18. ^ 徳島県、長生堂製薬に業務停止命令 品質管理に問題”. 日本経済新聞 (2021年10月12日). 2024年10月30日閲覧。
  19. ^ 会員会社に対する処分について(一般の方向け)”. 日本ジェネリック製薬協会. 2024年10月30日閲覧。
  20. ^ 長生堂製薬を日本GEの子会社に再編 日本調剤、GMP違反業務改善計画の実効性向上が狙い”. 日刊薬業 - 医薬品産業の総合情報サイト (2024年10月30日). 2024年10月30日閲覧。

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