日本語版の可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/22 16:43 UTC 版)
「クィア・アズ・フォーク」の記事における「日本語版の可能性」の解説
同じ同性愛の海外ドラマということで『Lの世界』と対比され、「なぜ(女性の)『Lの世界』は日本で公開できるのに、(男性の)『クィア・アズ・フォーク』はダメなのか」という意見がしばしば聞かれる。これについて、ジェンダー的観点から論じられることもあるが、それは必ずしも正しくない。『Lの世界』は比較的穏当な描写の作品であるが、『クィア・アズ・フォーク』は性的に過激な描写が散見される。作品が持つ真のテーマをきちんと伝えるためには、まず作品自体に興味関心を持ってもらわなければ何も始まらない(せっかくいいことを言っていても、見てもらわなければ誰にも伝わらない)ため、過激な描写はある意味での撒き餌のような存在ではある。しかし、日本では「性的に過激」という一点のみをもってして「不適切」と断じられる向きが多い。また、いくら撒き餌のような存在であったとしても、物語を展開させるうえでの根幹をなすシーンも多々あるため、それらのシーンをただのポルノとしてカットすることを、米本国の権利者(ショウタイム)は好まない。そのため、日本の各媒体が本作の放送および配信などを忌避し、日本での展開はめどが立たないまま、現在に至る。 『クィア・アズ・フォーク』も『Lの世界』も、米国ではケーブルテレビ局であるショウタイムが制作し、放送した。『Lの世界』は、日本ではすでに20世紀フォックスが配給を受託し、日本国内にて公開した。『クィア・アズ・フォーク』は、ショウタイムの株主であるCBSコーポレーションとの関係からか、ワーナー・ブラザースが北米以外の各国における国際配給を受託しており、日本ではワーナー エンターテイメント ジャパンがその任に当たっている。しかし、本作は連続テレビドラマという性質上、日本国内の媒体による大規模な放送または配信がなされなければ、作品の知名度が高まらない。そのため、ワーナー・ホーム・ビデオ(ワーナー エンターテイメント ジャパン)がただDVDを製造・販売したとしても、日本語版の制作に費やした費用を回収することは難しくなる。字幕版または吹替版を制作するとなると、配給会社であるワーナー エンターテイメント ジャパンがその制作費を負担することとなるため、配給会社としては慎重な姿勢を崩せない。利益に結びつかなければ、日本語版の制作は不可能である。『Lの世界』ですら、当初は「ビジネスにならない」ため、DVD化は予定されていなかった。さらには、本作は、同社の米国本社が権利を保有している『ハリー・ポッターシリーズ』のような作品ではない(配給権のみを受託しているため利幅が薄い)ことと、映像産業ならではの新作至上主義の風潮が追い打ちをかけ、ワーナー エンターテイメント ジャパンが「他社の古い受託作品」に優先的に予算を割り当てることは考え難く、本作が同社から日本国内で発売される可能性をさらに押し下げている状況にある。
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