日本語での名称について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 06:30 UTC 版)
日本の外務省は、ローマ教皇を国家元首とする独立国家をバチカン市国と呼び、その聖俗両面の総称をバチカンとしている。 日本のカトリック教会の中央団体であるカトリック中央協議会は、1981年のヨハネ・パウロ2世の来日時に、それまで混用されてきた「教皇」と「法王」の呼称を統一するため、世俗の君主のイメージの強い「王」という字を含む「法王」でなく「教皇」への統一を定めた。また「教える」という意味を含む「教皇」が、より職務を表していると考えた。 以降、日本のカトリック教会の公式な表記では「法王」でなく「教皇」が用いられている。このとき、東京都千代田区にある「ローマ法王庁大使館」においても、これにあわせて「法王庁」から「教皇庁」への名称変更を行おうとしたが、日本国政府から「日本における各国公館の名称変更は、クーデターなどによる国名変更時など、特別な場合以外は認められない」として認められず、「ローマ法王庁大使館」の名称を使用していた。(官報や外務省の公文書でも「ローマ法王」の語が用いられているため、これが日本国政府の用いる公式名称であるとみなされていた)このような経緯もあって、マスメディアでは長らく「教皇」と「法王」の呼称が混用されていた。 2018年2月9日、衆議院予算委員会で立憲民主党の山内康一がこの件で質問を行っている。事前通告されたのを受けて、外務省が当事者である駐日大使館及びバチカン市国へ問い合わせを行ったところ、いずれも名称変更(=「教皇」への訳語統一)を求めていないと回答された。しかし外務大臣河野太郎は、2015年に表記変更を行ったジョージアの例を上げつつ、要望があれば対応することを表明した。 2019年11月20日、第266代教皇フランシスコの来日を目前にして、日本国政府及び外務省は「ローマ教皇」に呼称を変更した。外務省は変更の理由を、カトリック関係者ほか一般的に「教皇」を使用する場合が多いこと、また日本国政府がバチカン市国側に呼称の変更が問題ないことが確認できたため、と説明した。政府の名称変更に合わせ産経新聞や日本放送協会ほかメディアも呼称を変更した。
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