日本政府による定義の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 10:13 UTC 版)
「強制連行」の記事における「日本政府による定義の拡大」の解説
日本政府が自ら(強制の)定義を拡大したという指摘もある。 日本政府による最初の調査は、「朝鮮半島出身者のいわゆる従軍慰安婦問題に関する加藤内閣官房長官発表」として発表された:143。 朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦問題については、昨年12月より関係資料が保管されている可能性のある省庁において政府が同問題に関与していたかどうかについて調査を行ってきたところであるが、今般、その調査結果がまとまったので発表することとした。 — 加藤内閣官房長官発表 平成4年7月6日 この時点では、あくまでも「朝鮮人強制連行」に関する調査だったが、韓国側が満足せず、再調査が行われた際に、韓国(朝鮮半島)とは無関係な事例が追加された。 河野談話の中でしばしば問題になる「(意思に反して集められた事例が数多くあり、更に)官憲等が直接これに加担したこともあった」という部分は、外政審議室によれば、朝鮮半島ではなくインドネシアで起きた事件を念頭に置いたものだった:147。 慰安所をつくって慰安所に入れたという事例がございまして、これは極刑を受けて・・・そこがあったということでございます。バタビアの事件が一つあった。 — 東良信外政審議官 この事件は「スマラン事件」として知られているが、外政審議官が軍の組織的行動でないことを表すために「軍」ではなく「官憲等」という書き方をしたと説明したように:150、日本政府や軍の指示ではなく、一部の軍人による規律違反のケースだったとされている。 木村幹は、河野談話は、以前から明らかになっていた中国や東南アジアの事例に韓国での調査結果を上乗せすることで、巧みに「強制性」を認定する形になっていると指摘している:192。木村は、補償を求めないという金泳三大統領の発言を受け、問題の解決を急いだ日本政府が、「強制連行性」の立証が不可能と判断して「ストライクゾーン」を広げたと述べている:188。 西岡力も、韓国側の期待に応えようと、宮沢首相の謝罪ありきで始まった日本外交の下で外務省の役人が「広義の強制」を「発明」したと、当時の政府の対応を批判している:111-112。 河野談話発表後、韓国の外務省は、日本政府が「全体的な強制性」を認定したとし、これを評価する論評を発表した:13。
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