日本のカンタン属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 22:07 UTC 版)
「カンタン (昆虫)」の記事における「日本のカンタン属」の解説
カンタン属 Oecanthus Audinet-Serville, 1831には世界で約66種が知られるが、そのうち日本には以下の5種が生息するとされる。いずれもよく似ているが、5種のうち腹部腹板が黒色になるのはカンタンのみである。ただしカンタンにも腹板が黒くならない個体が出現することもあり、同定はやや難しい。 ヒロバネカンタン Oecanthus eurytra Ichikawa, 2001 本州、四国、九州、南西諸島、朝鮮半島、台湾(?)、タイ、カンボジア、パキスタン(?)に分布。オスの前翅は幅広い。通常は淡緑色だが、九州などには褐色のメスがいる。オスメスともに腹部腹板は黒くない。 カンタンより南方系で、より乾燥した環境にも耐える。成虫は関東近辺では6-7月と9-10月頃の2回現れる。 鳴き声はカンタンとは似てもにつかず、「ビー・ビー・ビー…」と等間隔に区切って鳴く単調なものである。 カンタン同様飛翔力を有するが、より移動力に優れているようで最近では温暖化も手伝って分布を北上させている。 基本的な生態・食性などはカンタンに準ずる。 インドカンタン Oecanthus indicus Saussure, 1878 奄美大島以南、台湾、東南アジア、インド等に分布。体長はオス…17.5mm(翅端まで14.8mm)、メス…14.7mm(翅端まで18mm、産卵器先端まで24.2mm)ほど。普通は淡褐色、腹部腹板は黒くない。産卵器は短く5mm前後。 カンタン Oecanthus longicauda Matsumura, 1904 本項参照。 チャイロカンタン Oecanthus rufescens Audinet-Serville, 1839 奄美大島、八重山諸島、東南アジア、インド、オーストラリア等に分布。体長はオス…16.7mm(翅端まで15.3mm)、メス…14.8mm(翅端まで19.7mm、産卵器先端まで24.2mm)ほど。淡褐色でインドカンタンによく似る。平地の荒地に棲み、夜にリューー・リューーと鳴くが、日本のものとオーストラリアのものでは鳴き声が違う。 コガタカンタン Oecanthus similator Ichikawa, 2001 日本固有種。本州、四国、九州に分布。体長はオス…11.7-13.4mm(翅端まで14.2-18.1mm)、メス…13.8mm(翅端まで15.8-20.6mm、産卵器先端まで20.7mm)ほど。カンタンによく似ていてやや小型。腹部腹面は黒くない。カンタンが気温が低ければ日中でも鳴くのに対し、コガタカンタンは夜しか鳴かない。キイチゴ属の植物上に限って見られる。
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