日本における戦前の年賀切手
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「年賀切手」の記事における「日本における戦前の年賀切手」の解説
世界で最初に年賀切手を発行したのは南米のパラグアイで、1931年に1932年用年賀切手として発行されていた。次に発行したのは日本である。日本で年賀状を元旦に配達する年賀郵便特別取扱が始まったのは1899年からで、普通官製はがきや私製はがき(1900年以降)が使われていたが、年賀状に使用するための切手や葉書を発行することはなかった。 昭和に入り年賀状の取扱いが増大したことから、逓信省(現在の日本郵政)は、当時大半を占めていた私製年賀葉書の利用者のサービスとして年賀切手を発行することになった。これは年賀状を可能な限り早く差し出してもらうことも意図していた。最初の年賀切手は「昭和十一年年賀用切手」で、1935年12月1日に発行された。この年賀切手は額面1銭5厘であり、普通切手とサイズは一緒であったが、渡辺崋山の「富嶽図」に松竹梅の囲み枠を配したデザインであった。発行枚数は当時としては大量の3億3163万枚(100枚シートとは別に企画された20枚構成の小型シートも含む)発行され、そのうち年内に約2億5000万枚が売りさばかれた。 年賀切手は翌1936年も発行されたが、1937年の年賀切手は同年に発生した盧溝橋事件をきっかけに日中戦争が勃発し、日本国内で虚礼廃止運動が起こって年賀状の差出を控える傾向が顕著になり、用意された3億枚のうち半分以下しか売りさばかれなかったため、年賀切手はこの年限りで打ち止めになった。なお、年賀状特別取扱も1938年限りで廃止になった。
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