日本での災害伝承
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 08:10 UTC 版)
日本において災害伝承は各地域ごとに伝えられていたが、国等の公的機関が伝承を全国的に調査・整理することは長い間なされていなかった。平成に入り、総務省消防庁が2004年(平成16年)から2006年(平成18年)にかけて伝承の集約を行い、インターネットのホームページで情報を公開している。国民がそれぞれの在住する周辺地域に伝わる災害伝承を把握することで防災意識を高めることが期待されている。 2011年3月の東日本大震災では、過去の災害で得られた教訓が地域住民の間で伝承され、震災時には住民各自が適切な判断・対応をして被災を免れた事例があった。このことから、各地に残る災害教訓を伝承し地域住民の防災意識の向上に繋げるべく、2012年(平成24年)6月に災害対策基本法が改正され、災害教訓の伝承が住民の責務であることが明記された。 災害の顛末や教訓はしばしば、石碑に刻まれて後世に伝えられてきた。岩手県宮古市重茂姉吉地区にある「大津波記念碑」には、1933年(昭和8年)の昭和三陸地震で発生した津波の被害と「此処より下に家を建てるな」という教訓が刻まれている。この石碑のある場所より高い場所にあった家屋は、東日本大震災での津波の被害を免れた。しかし、同県大船渡市三陸町越喜来にあった、同じく昭和三陸津波の被害を伝える記念碑は、東日本大震災での津波被害があるまで多くの人々から忘れられていた状況であった。また、鹿児島県には1914年(大正3年)の桜島大正噴火の被害を伝える石碑が各地に残されているが、風化しやすい溶結凝灰岩を材料に用いた石碑が多いこともあり、こんにちには表面の文字が判読しにくくなった石碑も見られるという。 災害伝承には、大雨が降ると崩れやすくなるなど危険な場所に子供が近付かないように、「その場所にムジナがいるから近付いてはいけない」といった子供にもわかりやすい表現で大人が語るものも含まれる。
※この「日本での災害伝承」の解説は、「災害伝承」の解説の一部です。
「日本での災害伝承」を含む「災害伝承」の記事については、「災害伝承」の概要を参照ください。
- 日本での災害伝承のページへのリンク