方向性の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 15:32 UTC 版)
ミーム学は誕生とほぼ同時に2つの流れに分岐した。一方は「ミーム」の定義としてドーキンスによる「脳内の情報の単位」という定義を頑なに守ろうとする流れであり、もう一方は「ミーム」を広く捉えて様々な文化的な人工物や振る舞いに適用しようとする流れである。前者の学派を "internalists"、後者を "externalists" と呼ぶ。internalists には Lynch と ブロディが含まれ、externalists には Derek Gatherer や Willian Benzon が含まれる。externalists は、脳内がどうなっているかを科学的に解明するのを待っていてはミーム学が科学として進展できないとし、文化の具体的に観察可能な事象を扱うことを選んだ。internalists はこれに対して次のように反論した。技術が進歩すれば脳内の状態を直接観察できるようになる。また、文化人類学者が主張するように、文化は信仰や信念であって人工物ではないし、精神的実体やDNAが自己複製子であるというのと同じ感覚で人工物を自己複製子と呼ぶことはできない。この論争は過熱し、1998年のミーム学に関するシンポジウムが開催された際、定義論争を終結させようという動議が提出されたほどである。 最近の internalists の主張は Robert Aunger(ケンブリッジ大学の人類学者)が2002年に出版した The Electric Meme にある。彼は1999年にケンブリッジでの会議を開催し、そこで主要な社会学者や人類学者がミーム学の状況を評価する機会を持つこととなった。この会議の結果を元に Aunger が編者となり、Darwinizing Culture: The Status of Memetics as a Science を2000年に出版した(序文はデネット)。
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