新しい波
新しい波
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 12:49 UTC 版)
「アダルトビデオの歴史」の記事における「新しい波」の解説
1989年6月に発売された、近松はじめの『アクションビデオ ビデオギャルやりませんか』は、撮影者が街角で女性をスカウトする場面からはじまり、ラブホテルに連れ込んで性交渉に至る過程をおさめたもので、「素人もの」と呼ばれるジャンルの嚆矢となった。アダルトビデオが作られる状況そのものを記録するという手法は、プロダクションを通さない分、出演料が抑えられるというのも、大きな利点であったし、従来謎めいていた部分を解き明かすという意味で視聴者の知識欲を満たす画期的手法で、瞬く間に一大ジャンルを築き上げて業界に定着した。90年代に入ると、カンパニー松尾、バクシーシ山下、平野勝之といった社会性に富んだ、映像の斬新さを追求していく監督が登場し、アダルトビデオ業界のみならず一般映画界にも影響を与えた。松江哲明は「僕がとくに影響を受けているのは平野さんであったり、カンパニー松尾さん、バクシーシ山下さんといったAV監督の作品です」と言及している。こうしたオリジナリティの強い映像への帰着は日本の叡智が生み出した独自の映像文化の発達の成果であると評価されている。 1986年に歌手デビューし、後に元芸能人としてアダルトビデオに出演した葉山レイコの『処女宮 うぶ毛のヴィーナス』は当然のように大ヒットし、A級ルックス女優のソフトポルノ路線を再び盛り上げた。1990年、葉山のヒットを機にソフトポルノ路線に特化した芳友舎は、星野ひかる、浅倉舞、白石ひとみ、伊藤真紀などの美人女優を次々とデビューさせ、業界シェアを飛躍的に拡大させた。宇宙企画やアリスJAPANといったレーベルもこの動きに追随し、青山ちはる、沢木まりえ、朝岡実嶺といった人気女優を輩出した。1992年にデビューした飯島愛は、こうした潮流のひとつの終着点ともいえるほどの人気を博した。先行して出演していた深夜のテレビ番組『ギルガメッシュないと』との相乗効果もあり、飯島の作品は爆発的な売れ行きを残した。こうした「ヌードの仕事をするアイドル」の激しい争奪戦が繰り広げられると同時に、AVそのものをより大衆的な商品へと変化させた。これは、無名女優が出演し、ハードコアをする作品と、有名女優が出演し、ソフトコアをする作品との市場構造そのものの分断を意味していた。
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