数学の準備とは? わかりやすく解説

数学の準備

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/10 05:04 UTC 版)

スピン角運動量」の記事における「数学の準備」の解説

スピン角運動量演算子の定義必要な数学的知識簡単に述べる。Rを実数全体集合、Cを複素数全体集合とする。3次元空間R3における回転行列全体集合を S O ( 3 ) = { R ∈ M n , n ( R )   :   t R R = I ,   det R = 1 } {\displaystyle \mathrm {SO} (3)=\{R\in M_{n,n}(\mathbf {R} )~:~{}^{t}RR=I,~\det R=1\}} と表記する。ここで M n , n ( R ) {\displaystyle M_{n,n}(\mathbf {R} )} は n 行 n 列の実行列全体集合であり、I は単位行列であり、tR は R の転置行列である。SO(3)行列の積に関して群をなすので、SO(3)3次元回転群という。 SO(3) のように、「滑らかな構造持った群をリー群という(厳密な定義リー群の項目を参照)。特にSO(3) のように行列からなるリー群行列リー群あるいは単に行列群という。本項登場するリー群は以下の行列群限られる。そこで本項ではリー群一般論展開するのは避け、以下の行列群限定して話をすすめる。 以下でVは複素計量ベクトル空間であり、Iは単位行列であり、A*はAのエルミート共役である: 3次元回転群 S O ( 3 ) = { R ∈ M n , n ( R )   :   t R R = I ,   det R = 1 } {\displaystyle \mathrm {SO} (3)=\{R\in M_{n,n}(\mathbf {R} )~:~{}^{t}RR=I,~\det R=1\}} …(G1) ユニタリ群 U ( V ) = { U   :   V {\displaystyle \mathrm {U} (V)=\{U~:~V} 上の線形写像で、 U U ∗ = I } {\displaystyle UU^{*}=I\}} …(G2) 特殊ユニタリ群 S U ( V ) = { U   :   V {\displaystyle \mathrm {SU} (V)=\{U~:~V} 上の線形写像で、 U U ∗ = I ,   d e t U = 1 } {\displaystyle UU^{*}=I,~\mathrm {det} U=1\}} …(G3) ベクトル空間VがCnである場合は、U(V)SU(V)の事をそれぞれU(n)SU(n)表記する。 GをSO(3)、U(V)SU(V)いずれかとするとき、集合 g = { d ⁡ R ( t ) d ⁡ t | t = 0   :   R ( t ) {\displaystyle {\mathsf {g}}={\Bigg \{}{\operatorname {d} R(t) \over \operatorname {d} t}{\Bigg |}_{t=0}~:~R(t)} は G 上の可微分曲線で、t=0 のとき単位行列となる } {\displaystyle {\Bigg \}}} …(G4) をGのリー環呼び、 g {\displaystyle {\mathsf {g}}} の元をG上の無限小変換と呼ぶ。リー「環」という名称なのは、 g {\displaystyle {\mathsf {g}}} が行列の交換子積 [ A , B ] = A B − B A {\displaystyle [A,B]=AB-BA} に関して環をなすからである。SO(3)、U(V)SU(V)リー環それぞれ、 s o ( 3 ) = { F ∈ M n , n ( R )   :   t F = − F } {\displaystyle {\mathsf {so}}(3)=\{F\in M_{n,n}(\mathbf {R} )~:~{}^{t}F=-F\}} …(G5) u ( V ) = { A   :   A {\displaystyle {\mathsf {u}}(V)=\{A~:~A} はV上の線形写像で、 A ∗ = − A } = { A   :   A {\displaystyle A^{*}=-A\}=\{A~:~A} はV上のエルミート演算子 } {\displaystyle \}} …(G6) s u ( V ) = { A   :   {\displaystyle {\mathsf {su}}(V)=\{A~:~} はV上の線形写像で、 A ∗ = − A ,   t r A = 0 } {\displaystyle A^{*}=-A,~\mathrm {tr} A=0\}} …(G7) である。so(3)上述した形になるのは以下の理由よる。R(t)をSO(3) 上の可微分曲線で、t=0 のとき単位行列となるものとすると、SO(3) の定義より、 t R ( t ) R ( t ) = I {\displaystyle {}^{t}R(t)R(t)=I} なので、その t = 0 での微分t d ⁡ R ( t ) d ⁡ t | t = 0 + d ⁡ R ( t ) d ⁡ t | t = 0 = 0 {\displaystyle \left.{{}^{t}\operatorname {d} R(t) \over \operatorname {d} t}\right|_{t=0}+\left.{\operatorname {d} R(t) \over \operatorname {d} t}\right|_{t=0}=0} を満たす為である。u(V)su(V)上述の形になる事も同様の方法証明できる。なお、ここではVが有限次元の場合想定したが、無限次元ヒルベルト空間の場合同様の事が成立する。 g {\displaystyle {\mathsf {g}}} をso(3)、u(V)su(V)いずれかとし、行列 A ∈ g {\displaystyle A\in {\mathsf {g}}} に対しexp(A)e x p ( A ) = ∑ n = 0 ∞ A n n ! {\displaystyle \mathrm {exp} (A)=\sum _{n=0}^{\infty }{A^{n} \over n!}} …(G8) と定義すると次が成立する: A∈so(3)、u(V)su(V)であればexp(A)それぞれSO(3)、U(V)SU(V)の元である。 …(G9) d d ⁡ t | t = 0 exp ⁡ ( t A ) = A {\displaystyle {\operatorname {d} \over \operatorname {d} t}{\Bigg |}_{t=0}\exp(tA)=A} …(G10) SO(3) に関して上述性質を更に具体的に書き表す事ができる。3次元ベクトル x = (x, y, z) ∈ R3対し、so(3)属す行列FxF x = ( 0 − z y z 0 − x − y x 0 ) ∈ s o ( 3 ) {\displaystyle F_{\boldsymbol {x}}={\begin{pmatrix}0&-z&y\\z&0&-x\\-y&x&0\end{pmatrix}}\in {\mathsf {so}}(3)} …(G11) と定義すると:p344:p36次が成立する:p36exp(Fx) は x を軸とする回転行列で、回転角は軸に対して右回りに ||x|| ラジアンである。 …(G12) [ F x , F y ] = F x × y {\displaystyle [F_{\mathbf {x} },F_{\mathbf {y} }]=F_{\mathbf {x} \times \mathbf {y} }} …(G13) ここで「×」はクロス積である。G、HをSO(3)、U(V)SU(V)いずれかとし、 g {\displaystyle {\mathsf {g}}} 、 h {\displaystyle {\mathsf {h}}} をG、Hのリー環とする。(すなわち g {\displaystyle {\mathsf {g}}} 、 h {\displaystyle {\mathsf {h}}} はso(3)、u(V)su(V)いずれかである)。 π   :   G → H {\displaystyle \pi ~:~G\to H} をGからHへの可微分準同型写像とする。このときπが誘導する写像π*を π ∗   :   d ⁡ R ( t ) d ⁡ t | t = 0 ∈ g {\displaystyle \pi _{*}~:~{\operatorname {d} R(t) \over \operatorname {d} t}{\Bigg |}_{t=0}\in {\mathsf {g}}} ↦ d ⁡ π ( R ( t ) ) d ⁡ t | t = 0 ∈ h {\displaystyle \mapsto {\operatorname {d} \pi (R(t)) \over \operatorname {d} t}{\Bigg |}_{t=0}\in {\mathsf {h}}} …(G14) により定義すると、この写像well-definedになる。しかもこの写像リー環としての準同型写像になることが知られている。すなわち π ∗ ( [ A , B ] ) = [ π ( A ) , π ( B ) ] {\displaystyle \pi _{*}([A,B])=[\pi (A),\pi (B)]} …(G15) である。 πが誘導する写像π*と行列の指数関数expは以下の関係を満たす任意の A ∈ g {\displaystyle A\in {\mathsf {g}}} に対し、 π ( exp( A ) ) = exp ⁡ ( π ∗ ( A ) ) {\displaystyle \pi (\exp(A))=\exp(\pi _{*}(A))} …(G16)

※この「数学の準備」の解説は、「スピン角運動量」の解説の一部です。
「数学の準備」を含む「スピン角運動量」の記事については、「スピン角運動量」の概要を参照ください。

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