教育・アマチュア用途
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/04 19:27 UTC 版)
太陽は最も身近な恒星であり、地球環境や生活に及ぼす影響は極めて大きい。また、普通の惑星や恒星は基本的に夜間しか観測できないが、太陽は日中に容易に観察できる天体であるため教育上重要である。ただし、望遠鏡による太陽観察の方法を誤ると失明他極めて重大な健康被害が発生するため、十分注意が必要である。 かつて、望遠鏡を用いた太陽観察では、超強減光フィルターが用いられてきた。これは高性能な遮光ガラス(溶接用遮光ガラスに類似)を使用した減光フィルターを接眼レンズ部にセットし、強烈な太陽光を減光して観察することを目的にしたものだった。 しかし、この減光フィルターは熱に耐え切れず割れるなどのトラブルが発生することがあり、これは即失明などにつながる危険な問題点であった。穴あきキャップなどで望遠鏡の有効径を絞るとともに、ガラスの表面反射を用いた直角ミラー(サンプリズム)を使用し、数%の光のみを接眼部に導入して減光フィルターにかかる負荷を抑制するなどの対策もあったが、減光フィルターの潜在的な危険性はいずれにしても存在した。 このような危険性を避けるため、接岸部から少し離して白い投影板をセットし、望遠鏡を「プロジェクター」として利用して観察する方法がある。この方法は同時に多数人が観察できるメリットもある。ただし、観察される太陽像はコントラストが低く、投影版を外して覗き込むとやはり危険である。 逆に、対物レンズ側に減光フィルタを取り付けて観察する手法がある。光線透過率が数千-数万分の一の金属薄膜蒸着ガラスフィルタや特殊フィルムを対物レンズの前に取り付けると、比較的安全に太陽を直接観察することができる。(ただし、写真撮影専用の中には赤外線の減光性能が目視に耐えないほど低いものがある。こうした製品は目視に使用してはならない。) 近年、アマチュアの観察向けには高性能干渉フィルタを用いた太陽望遠鏡が普及してきた。これは主にHα線(波長656.28nm)を高性能なバンドパスフィルタを用いて観測するもので、太陽フレアを直接観察可能である。また、皆既日食時でなくとも紅炎(プロミネンス)を観察できる。 アマチュア用途では、望遠鏡内部を真空にすることは運用上現実的でないので、小口径の屈折望遠鏡を用いることが多い。反射望遠鏡は熱によって望遠鏡内部に気流の乱れが生じやすいためにあまり好まれない。
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