教師の立場から見た観点別評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/28 18:22 UTC 版)
「観点別学習状況」の記事における「教師の立場から見た観点別評価」の解説
教師にとって観点別評価は、児童生徒の学習の到達度合いを確認し、授業の改善や、到達の度合いが低い児童生徒へ支援するための参考資料となる。他方で、評価資料収集のための莫大な仕事量の割には教育上の効果がはっきりせず、無駄な作業が多いとの声もある。このような声は、逆に観点別評価が評価のための評価としてなされる実態、学習指導の目標の実現状況を評価するという本来の評価の目的から離れた評価がなされている実態の表出とみることもできる。 評価の規準が質的であるのに対して、それを三段階に分ける際に数量化の問題が発生する。質的問題を数量化するには、質的問題を操作的に定義しなおすことの妥当性が問われる。すなわち、質的規準と数量化の基準が目標に対して妥当であるかの検討が必要になる。例えば「関心・意欲・態度」の項目については、授業中の児童生徒の様子や授業中のノートの点検、宿題への取り組み状況など、様々な評価材料で評価を行う試みがなされている。その場合、ともすれば情意面の評価を点数化して評価する根拠が曖昧になる。そこでは「関心・意欲・態度を数値化して評価することには問題がある」あるいは「関心・意欲・態度を評価する時間があるならばむしろ、児童生徒が興味関心を持って、意欲的に取り組める授業を作る準備に時間を充てるべきではないだろうか」という声も現れる。ともすれば、逆にそのような見解を披露することそれ自体が、関心・意欲・態度を育てる指導と評価(指導のための評価)を行っていないこと、そのため関心・意欲・態度を評価することを普段の授業でなしえないと発想すること、であればこそノートや宿題、挙手回数などでその主旨と乖離したと自分がみなす方法で評定するという自己矛盾を表明しているとも誤解されかねない。 質と量が本質的に異なるとすれば質を量に数量化する際に発生する乖離は解消し得ないが、乖離を埋めようとする努力は目標を適格に理解するための教材研究を通してはじめて可能になる。教育論議は誰でもできるが、その乖離を埋めることは目前の子どもの教育に対して責任をもつ教師以外にはなしえないことでもある。
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