教会分裂の顕在化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/18 16:06 UTC 版)
「キリスト教と同性愛」の記事における「教会分裂の顕在化」の解説
こうした見解の差異は正教会、カトリック教会といった教会内にはほとんど存在しないが、同性愛に対する見解の大きな差異を内部に抱えた教派(聖公会、プロテスタントのうちの幾つかの派)においては、教会組織の大規模な分裂が起きているか、もしくは起きつつある。 特に保守派とリベラル派の見解の差が著しい聖公会(アングリカン・コミュニオン)において分裂傾向は深刻である。米国聖公会では、同性結婚の祝福、公然同性愛者の主教按手といった強いリベラル寄りの姿勢を示す同教会に対して「伝統から外れた」と反発する保守派が多数離脱、北米聖公会が樹立された。こうした聖公会の分裂は北米に限らない。カンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズと、ローマ教皇ベネディクト16世はバチカンで2009年11月29日に急遽会談したが、これはカトリック教会が同年10月20日に、同性愛者の按手および結婚祝福、女性聖職に対して「不快感を持つ人を受け入れる」使徒憲章を公布すると発表した事に、ウィリアムズ大主教が即座に反応したもの。大主教側と教皇側の双方がこの会談を「友好的」であり「エキュメニズムの前進の確認」であるとしたが、共同声明は行われなかった。ブルーノ・バルトローニによれば、双方がエキュメニズムが失敗した事を認め、カトリック教会は女性司教・司祭の問題において妥協しないことが明らかになったとされる。英国国教会の所属教会のうち、450の教会が英国国教会を離脱してカトリック教会に移る事を検討中であると伝えられている。 アメリカ福音ルター派教会でも同性愛に対する認識を巡り、分裂が顕在化している。 2009年11月20日に、アメリカ合衆国の福音派、カトリック教会、北米聖公会、正教会といった、教派を超えた指導者152名(発表前日時点)が署名したマンハッタン宣言が発表された。この宣言は同性結婚、人工妊娠中絶への反対をうたっている。 「キリスト教世界三大異端」と呼ばれる末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)、エホバの証人、世界平和統一家庭連合(旧:統一教会)といったキリスト教系のセクト集団ではいずれも同性愛を認めていない。
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