放射線測定装置の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 13:46 UTC 版)
1921年イギリスからの帰国に際し、ソディ 教授から贈られた標準塩化ラジウム製剤といくつかの放射能測定器を持ち帰った。日本製の放射線測定機器類がまだ無かったので、これらの機器を理化学研究所工作部に製作させた。主な機器類は次のとおり。 ローリッツェン検電器 αβγ-放射能測定用検電器〔商品名:大型ラヂオスコープ〕 鉱泉及び気態試料の放射能測定器〔商品名:IM-泉効計〕(IM は飯盛のイニシアル) ラジウム測定用ラドン定量器〔商品名:理研精密ラドン計〕(下図参照) トロン定量用検電器 これらの機器類は理研から発売された。IM泉効計は温泉・鉱泉・池沼水の放射能を測定する携帯用機器で、約0.5リットルの試料水を槽内に採り、密閉振盪して溶存ラドンを槽中の5リットルの空気と0.5リットルの水との間に分配した後、空気相の放射能を測定して試料水中のラドン濃度を定量する携帯用ラドン測定装置である。ラドン標準として一定量の酸化ウラン粉末を塗布したアルミ板を電離槽中に差しこんで検電器で放射能を読み、これを付属の補正値(振盪時から測定時までの経過時p間を考慮した復元値)から始元期ラドン放射能をラドン濃度0.01マッヘまで求めることができる。鉱泉や井戸水などのラドン含有量測定に広く用いられた。現在でも鉱泉分析法指針に採用されていて温泉法施行規則第14条七にも、温泉成分分析を行おうとする者が備えるべき器具として「IM-泉効計又は液体シンチレーションカウンター」と記されている。 2017年4月、日本郵便株式会社から理化学研究所創立100周年の記念切手が発行された。この切手のデザインの一部にIM泉効計が取り入れられた。 2022年 IM泉効計は、日本化学会によって認定化学遺産 第58号に認定された。 理化学研究所製放射線測定器
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