改正の諸原則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 13:39 UTC 版)
改め文方式の改正全体にわたる原則としては、おおむね次のようなものがある。 前から順に行う。[補足]共通する字句の改正や規定の細分の改正(条に対する項の新設・廃止、条・項に対するただし書や後段の新設・廃止など)をまとめて行うことができるのは、中間に別の改正が含まれない場合に限られる。 [例外]既存の規定を移動し、そのスペースに新たな規定を加える場合には、先に当該既存の規定を移動して追加先のスペースを確保する。 規定の中身の改正と、当該規定の移動では、前者を先に行う。[例1]ある条中の字句の改正と、その条の移動では、前者を先に行う。[正]第一条中「甲」を「乙」に改め、同条を第二条とする。 [誤]第一条を第二条とし、同条中「甲」を「乙」に改める。 [例2]ある条又は項中の号の改正(号の加え、改め、削り、移動等)と、その条又は項の移動とでは、前者を先に行う。[正]第一条に次の二号を加える。(「次の二号」略)第一条を第二条とする。 [誤]第一条を第二条とし、同条に次の二号を加える。(「次の二号」略) 条(項建ての附則にあっては項)ごとに改正規定を区切る。[例外1]共通する改正を連続して行うときは、2以上の条をまとめて改正することができる。[例]第一条及び第三条に後段として次のように加える。 [例外2]規定の加え又は全部改めがあるときは、その部分で区切る。[正]第一条第二項を次のように改める。(「次のよう」略)第一条を第三条とする。 [誤]第一条第二項を次のように改め、同条を第三条とする。(「次のよう」略) [例外3]条建ての改正規定の場合、原則どおりであれば同一条内の改正規定をすべて(加え・全部改めの部分を除く。)1文で行うことになるはずであるが、衆法では各改正規定ごと(条を加え、又は全改する改正規定にあっては、各条に係る部分ごと)に区切る。 同一の規定を二度引きしない。[補足]規定の加えの場合において、追加先を明示するために引用するときは、ここでいう二度引きには該当しない。[例]第一条第二項中・・・改め、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。 [関連1]全部改め+移動は、行わない。 [関連2]字句の改正をまとめて行うことができるのは、当該各規定に当該字句以外の字句の改正が含まれない場合に限られる。[正]第一条第二項中「甲」を「乙」に改め、同条第三項中「甲」を「乙」に、「丙」を「丁」に改める。 [誤]第一条第二項及び第三項中「甲」を「乙」に改め、同項中「丙」を「丁」に改める。 [例外]法令又はその本則の全体に共通する字句の改正は、最初にまとめて行うことができる。 同一の規定を連続して引用するときは、同条・同項などのように表す。[補足]号の細分の場合には、「そ(の)」とした例と、「同号イ」とした例がある(第○条第○項第○号イまでが共通する場合)。また、府省令等では、「同イ」と表現する例も見られる。[再補足]もっとも、号の細分を改め、移動する場合には、「その」を用いることができないので「同号イ」とすることとなる。 [例外]段落をまたぐときは、再度「第○条第○項中」のように引きなおす。[例外・補足]内閣法制局の例規上、別表の場合には、例外的に段落をまたいで「同表」とすることが認められている。 同一の規定に係る改正は、「中」を用いてまとめることができる。ただし、二段階に「中」を用いることはできない。[例1]第一条中第五項を第六項とし、第四項を削り、第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、第一項の次に次の二項を加える。 [例2]第一条中第五項を第六項とし、第四項を削り、同条第三項中「甲」を「乙」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。 次の場合には、「中」を二重に用いることを避けるため「うち」を用いることができる。別表の改正[例]別表第一のうち二 ○○○の表××の項中「甲」を「乙」に改め、同表△△の項中「丙」を「丁」に改める。 前文の改正(衆法)[例]前文のうち第一項中「甲」を「乙」に改める。 [補足]単に「前文第一項」のように引用する例もある。 改正規定の改正[例1]第一条のうち、○○法第二条から第四条までの改正規定のうち第二条に係る部分中「甲」を「乙」に、「丙」を「丁」に改め、同改正規定のうち第三条に係る部分中「戊」を削り、「己」の下に「庚」を加える。 [例2]第一条のうち○○法第二条から第四条までの改正規定のうち、第二条に係る部分中「甲」を「乙」に、「丙」を「丁」に改め、第三条に係る部分中「戊」を削り、「己」の下に「庚」を加える。 [例3]第一条のうち、○○法第二条から第四条までの改正規定のうち第二条に係る部分中「甲」を「乙」に、「丙」を「丁」に改め、同法第五条の改正規定のうち同条第三項に係る部分中「戊」を削り、「己」の下に「庚」を加える。 その標記部分が「○○法目次」や「附表」等である目次、付表等を引用する場合において、当該規定を抽象的に指し示す場合には、現行の基準により、単に「目次」や「付表」等と引用すれば足りる。[補足1]目次については、特に、内閣法制局の例規において「○○法目次」又は「目次」のどちらでもよい旨が定められている。 [補足2]付表・付録等については、昭和49年9月19日の法令整備会議において、現行表記の基準による引用でよいとする意見が多数であった。[例]付録中「附録」を「付録(第一条関係)」に改める。
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