改正の趣旨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 18:11 UTC 版)
改正前の民法724条では「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」と規定されていた。しかし、この規定には次のような問題があった。 民法724条前段により被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは損害賠償請求権は時効によって消滅するとされ、これは時の経過によって不法行為要件の有無や損害についての証明が困難となり被害者感情も薄れることなどを根拠としていたが、立法論としては3年という期間は現代においては短きにすぎ被害者救済の点から問題とされ、時効の起算点を遅らせるなど法解釈上の努力が重ねられてきた。民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)は生命・身体の侵害による損害賠償請求権の時効期間を長期化する特則を設けた。 民法724後段の「不法行為の時から二十年」については判例で除斥期間を規定したものと解されていた(最判平成元年12月21日民集43巻12号2209頁)。しかし、除斥期間と解釈すると被害者の相続人が被害者の死亡を知らないまま20年が経過した場合に不都合であることから、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)では20年の期間は除斥期間ではなく時効期間であることが明文化された。
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