支那事変勃発に際して日英関係悪化を招いた背景:日本側の主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 01:31 UTC 版)
「ロバート・クレイギー」の記事における「支那事変勃発に際して日英関係悪化を招いた背景:日本側の主張」の解説
『蔣介石をして敢えて抗日侮日を恣(ほしいまま)にせしむるに至った所以(ゆえん)のものは、言う迄もなく一は「コミンテルン」の赤化戦略がその原因の一つであり、また一面には第三国の政治的勢力<=英国>の介在せることが、これまた排日抗日の温床となった一大事実を見逃す事は出来ないのであります。先程、きたる外務大臣もこの点に触れて御報告になりましたが、かような事実があって、既に帝国と致しましては赤化の侵略防止の為には、日独伊の間には協約が成立致し、また北国境線に沿って蒙疆聯合自治政府<=蒙古聯合自治政府>は、チャハル、綏遠、山西、河北の一部を包容致しまして、ようやく、その成立を告げて、極力赤化防止の陣容を整うるに至って居りますが、この機会において中南支における第三国の政治的勢力<英国>の介在を容認することがあったならば、他日その禍根を深からしめ、相互の不利益を醸す憂い少しとしないのであります。併せながら、今日蔣政権が没落して、同政権に対しまする所の帝国政府の態度が明瞭となり、東亜の形勢が一変致しました現下の情勢から見まするならば、心ある英国人の如きは、進んで政治的干渉を避くるの態度に出ることを信じて疑わないのであります。今日支那問題の解決と言い、また東洋永遠にわたる所の平和的建設の事業と言い、あるいは列国権益の保全と言い、ことごとく日本と協調するにあらざれば為し能わざることは、もはや世界の識者は何人も疑いを容れざる所であるのであります。この場合、日支の紛争の原因を根本的に芟除(せんじょ)し、東洋平和の本を作らんとするならば、その禍根を根絶する意味<支那におけるコミンテルンの赤化戦略根絶>において、第三国<英国>の反省を求めて、我国が特殊的権益を有する地位にあることを認識せしめ、堂々とその主張を述べて、支那の富源開発の為に列強と共に協調するの誠意を披瀝するこそ、東洋平和の基礎を確立するゆえんであると信ずるのであります。この点に対しまして、政府の所信を承りたいのであります。・・・』(18) (衆議院第七十三回帝国議会における国務大臣演説に対する民政党 川崎克の質疑より)
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