操作時の注意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 00:12 UTC 版)
このタイプでは当然ながら作動用のエアがないとギアチェンジができない。したがって、駐車時にギアを入れてエンジンを切ってしまい、その後エアの圧力が下がってしまうとギアをニュートラルにすることができずエンジンを再始動できなくなる可能性があるため、基本的にはエンジンを切る際に必ずニュートラルに戻す必要がある。ただし、数時間程度で運転を再開する場合は、ギアを入れたままでもかまわない。クラッチペダルを完全に踏み込める程度のエア圧低下であれば、クラッチペダルを完全に踏み込んだ状態でエンジンを始動し、エアを加圧した後にギアをニュートラルに戻す。また、クラッチペダルを完全に踏み込めない程のエア圧低下であれば、後輪内側のタイヤからエアを補給する。 また、通常のロッドタイプとは違い、レバーとトランスミッションが機械的に繋がっておらず、そのままではギアが入ったことをレバーの操作感からはつかめない。このためシフトレバー内部には反力発生装置(通常エアシリンダが用いられている)があり、ギアが入るまでレバーを逆方向に押し返すことで通常のマニュアルトランスミッションに近い操作感覚が得られるよう工夫されている。特に日野車といすゞ車は、シフトチェンジ時にシフトレバーおよび後部トランスミッション付近からエアーの大気開放音、三菱ふそう車では操作時にシフトノブから「カチッ」という機械音及び後部から圧縮空気の大気開放音がする。 また、ニュートラルポジションを含むギアポジションが速度計付近に表示される。 ドライバーの変速操作に対し作動は若干の遅れが発生すること、クラッチを完全に切った状態でないと操作が受け付けられないことなどから、操作には若干の慣れを要する。 路線バス車両に関しては、2012年(平成24年)7月施行の「新ワンマンバス構造要件適合車」は、中扉を開閉する際には必ずギアをニュートラルに入れる必要がある。適合車はニュートラルに入れないと中扉の開閉ができないほか、中扉を閉めた後に走行ギアに入れる際は、クラッチペダルの踏み込みが浅いと警告音が鳴るようになっている。 日本の4メーカーとも、基本はボッシュ(旧自動車機器)のシステムを用いており、シフトレバーノブの形状などは若干差はあるものの、故障時に電磁弁をシーケンス制御しシフトを行うスイッチを含め同じような操作システムとなっている。 シフトチェンジする際に回転数が合わないギアに無理に入れようとすると、ギアチェンジ自体がキャンセルされ、ニュートラルになる仕組みになっている。2016年に発生した軽井沢スキーバス転落事故では、運転手がこの仕組みに慣れていなかったことが事故の一因として指摘されている。
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