換算キロ・擬制キロ・運賃計算キロ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 09:14 UTC 版)
「営業キロ」の記事における「換算キロ・擬制キロ・運賃計算キロ」の解説
「換算キロ(かんさんキロ)」とは、正確には「賃率換算キロ」と言い、JR各社が幹線と地方交通線を連続して乗車する場合の運賃を計算する上で、幹線と地方交通線の間で賃率が違うことから、地方交通線の営業キロをそのまま当てはめるのではなく、営業キロに割り増しした運賃計算用の数値を指す。なお、四国旅客鉄道(JR四国)・九州旅客鉄道(JR九州)ではこれと同じ方法で算出された数値を「擬制キロ(ぎせいキロ)」と言い、この2社では、地方交通線のみを利用する場合の運賃もこの数値で計算する。幹線の営業キロと地方交通線の換算キロ・擬制キロの和を「運賃計算キロ(うんちんけいさんキロ)」と言い、幹線と地方交通線を連続して乗車する場合の運賃は、運賃計算キロを(JR四国・九州以外では幹線の)運賃表に当てはめて算出する(ただし、JR四国・九州を除く各社で、幹線と地方交通線が連続し乗車区間の営業キロが10km以内である場合は、乗車区間の営業キロを地方交通線の運賃表に当てはめて算出する)。 現在のこの制度は、国鉄末期の1982年に、不採算路線の増収策の一環として導入された。昭和30年代にも九州などの一部ローカル線(指宿枕崎線など)でも擬制キロが採用されていたことがあったが、1961年国鉄新線建設に対し補助金が出ることになったため、擬制キロによる割増運賃は一旦廃止された経緯がある。 逆に、都市部である東京山手線内・大阪環状線内の運賃を低減する制度として、実際の営業キロを割引した「短縮キロ」が1942年4月 - 1961年3月に制定されていたこともあった。例えば、東京駅 - 上野駅間が実際の営業キロ3.6kmのところ、2.1kmで計算されていた。これは同区間内の運賃表を別に設定することにより廃止された。その後、電車特定区間の制度となっている。 換算キロ・擬制キロは、営業キロに賃率比 (1.1) を乗じて算出する(小数点第2位で四捨五入)。賃率比 (1.1) は、1997年4月1日以降、東日本旅客鉄道(JR東日本)・東海旅客鉄道(JR東海)・西日本旅客鉄道(JR西日本)の地方交通線の第1地帯の賃率17円80銭/kmを、幹線の第1地帯の賃率16円20銭/kmで除した(小数点第2位で四捨五入)ものである。JR四国・九州以外で地方交通線のみを利用する場合の運賃は、地方交通線の営業キロで地方交通線の運賃表に当てはめて算出する。 JR四国・九州で地方交通線のみを利用する場合の運賃は、地方交通線の擬制キロで運賃表に当てはめて算出する。この方法を設定したため、この2社では基本となる運賃表が1つで済むが、営業キロと擬制キロの関係による特定運賃の組み合わせが不規則になってしまい、余計に運賃計算が複雑化してしまった。 JR以外では、名古屋鉄道が運賃計算において擬制キロに類似した制度を用いている。「名古屋鉄道#運賃」を参照のこと。
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