指揮の特色とは? わかりやすく解説

指揮の特色

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 17:37 UTC 版)

フリッツ・ライナー」の記事における「指揮の特色」の解説

ライナー指揮ぶりは、長い指揮棒わずかだ精密に動かすユニークなスタイル(ヴェスト・ポケット・ビート〈チョッキポケット式のビート〉と呼ばれたであった。さらに、楽曲一定の方向向いている時や、オーケストラ演奏緊張感欠いていると感じた時などは、指揮棒下向き降って演奏引き締めることすらあった。ビデオやDVD化されているライナー演奏映像では、身振りそんなに小さくないものの、右手指揮棒リズムをとるだけで、左腕ダラリと下におろしたまままったく動かさず、あとは鋭い眼光によってオーケストラ指示与えるというユニークな指揮姿を見ることができる。それほどわずかなバトンテクニックに適応するオーケストラ作ったわけであり、クライマックスライナーが突然大きく指揮棒振り上げた時の効果絶大だったといわれるシカゴ交響楽団が持つ指揮への反応のよさはライナー引き出したといってよい。 ピッツバーグ交響楽団で、楽団員冗談のつもりで双眼鏡を席の前に設置して、それを見つけて激怒したライナーによって楽団解雇されたという逸話残されているが、真偽のほど不明指揮にあたって眼を使うというやりかたを、若き日ライナーアルトゥル・ニキシュから学んだアメリカ音楽評論家H・Cショーンバークライナーのバトン・テクニックを賞賛して、ライナーを「指揮者の中の指揮者」と呼び、「オーケストラ使ってどんなことだってできる、恐るべき素養知識を持つ音楽家」と評している。 ライナー指揮動き小さかったが、そこには無限の陰影秘められていた。複雑に込み入った現代曲の演奏の時、ライナー右手指揮棒先端3拍子を、肘で4拍子を、腰で7拍子刻み、さらに左手その他の全てのリズム処理するという離れ業やってのけた大作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーライナー指揮するシカゴ交響楽団を「世界で最も柔軟正確なオーケストラ」と呼んだライナー治下ピッツバーグ交響楽団首席フルート奏者つとめたフルーティストのジュリアス・ベイカーは、ライナーのことを「彼は完璧だった。彼は楽員を見つめるだけで、最小限動き最大効果引き出すことができた。ライナーの下で演奏した音楽家は誰であれ『彼ほどスコア知る人はいない』というだろう」と評している。 名ヴァイオリニストアイザック・スターンライナーのことを「最も頭脳明晰指揮テクニシャン」と評しライナー指揮ぶりを「彼は指揮台の上では常に絶対存在だった。スコア全てを頭に叩き込み、耳と目をフル使い指揮棒の先を巧みに操った長い指揮棒でとても細やかな小さな動き刻みながら、皆に『ついて来なさい』と命じた」と述べている。 音楽評論家吉田秀和1950年代前半ライナー指揮シカゴ交響楽団演奏会聞いている。吉田その時印象を「いまだに一番はっきり思い出すのは、彼のバトンのふり方である。バトンを下にさげてぶらぶら振っている指揮者の姿は、私は、後にも先にも、この時のライナーのほか見たとがない」「とにかく指揮棒先端が上を向いていなくて、下を向いているのだから、びっくりした」「楽員たちは、頼るものがなくなるから、当然恐ろしくなり、全神経集中し緊張そのものといった表情演奏する」と述懐しライナー指揮を「指揮技巧巧拙というものが考えられるとしたら、ライナーまれにみる指揮ヴィルトゥオーゾであった」と評価している。 ライナーはオーケストラ・ビルダーとしても知られ指揮練習厳格さ楽団員から恐れられていた。例えキーパーソンとなる楽団員に対して厳しい「実地試験」が予告なく課せられることがあり、それをクリアしたメンバー結果的にその後オーケストラ長きわたって支え続けることになっているライナー統治下で、シンシナティ交響楽団ピッツバーグ交響楽団アメリカ一流認められるようになったし、さらにシカゴ交響楽団世界トップクラスオーケストラ発展遂げた

※この「指揮の特色」の解説は、「フリッツ・ライナー」の解説の一部です。
「指揮の特色」を含む「フリッツ・ライナー」の記事については、「フリッツ・ライナー」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「指揮の特色」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「指揮の特色」の関連用語

指揮の特色のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



指揮の特色のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのフリッツ・ライナー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS