拡張新字体の縮小
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 16:29 UTC 版)
1990年制定のJIS X 0212(補助漢字)では「鴎」「涜」「溌」など、それまでの拡張新字体に加えて正字体の「鷗」「瀆」「潑」などが増補された。しかし補助漢字はShift_JISエンコーディングでの表現を考慮していなかったため一般的なパソコンでは表示されず、根本解決に至らなかった。1992年の国語審議会でも、依然として「ワープロによって違った字体が出てきて困った経験がある。統一してほしい」などの意見が出た。 2000年2月のJIS X 0213:2000(新拡張JISコード)ではShift_JISエンコーディングで利用可能な拡張を行い、「鷗」「瀆」「潑」などの正字体をこの部分に「復活」して問題の解決を図った。 2000年12月、国語審議会は「表外漢字字体表」を答申し印刷字体の標準を示した。この表において、常用漢字表以外の漢字では拡張新字体を用いない方向を鮮明にした。このことは、拡張新字体の縮小に向かう流れを加速させた(但し表外漢字字体表でも「讃」の字体が採用され、「賛」の正字である「贊」を構成要素に持つ「讚」は採用されなかったこと等の例外はある)。 2004年のJIS X 0213:2004(改正新拡張JISコード)では例示字形を変更し、表外字の「一点しんにょう」を「二点しんにょう」にするなど「表外漢字字体表」を踏まえる形で点の有無や向きなどの細かい修正を施した。2007年1月発売のOS「Windows Vista」は、付属フォント(「MS ゴシック」系・「MS 明朝」系の更新版および新たに追加された「メイリオ」)においてこの例示字形に準じた。結果として人名の「辻」を以前のOSで一点しんにょうのつもりで入力したデータが、新しいOSで出力した際に二点しんにょうとして表示されるなどの混乱も起こった。 朝日新聞社でも2007年1月に朝日文字を改め、「表外漢字字体表」を踏まえた字体を用いるようになった。
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