拡張新字体の誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 16:29 UTC 版)
朝日新聞では1950年代に、表内字で略されている部分は表外字でも略す文字集合(朝日文字)を採用した。たとえば「贖」「犢」「牘」の旁は「賣」ではなく「売」になっている。これが、社会的な影響力を持った拡張新字体の最初の例である。 その後、拡張新字体はいわゆるJIS漢字にも現れた。最初の1978年のJIS C 6226-1978(旧JIS)では、「嘘(噓)」「叛(叛)」など少数の表外字(10字程度)に略字体が採用されていた。 JIS漢字の拡張新字体が一般の関心を集めたのは、1983年制定のJIS X 0208:1983(新JIS)においてであった。ここで、旧JISにおいて正字体で登録されていた表外字のうち「鴎(鷗)」「涜(瀆)」「溌(潑)」「逢(逢)」「飴(飴)」などを含む299字(または「曽(曾)」「訛」を加えた301字)の字体を改めて略字体が採用された。当時、表外字が略字体で印刷されることは一般的でなかったためインパクトが大きかった。このうち特に「鴎」が、「森鷗外の鷗」として盛んに取り沙汰された。 一方、同じ文字集合に含まれながら正字体のままとなっている字も、表外字の大多数として依然残った(たとえば朝日文字の例で挙げた「贖」「牘」や、「殫」「鸛」など)。また、「䋇(繹)」「㪘(斂)」「㸿(犢)」等の拡張新字体があり、これらはいずれもUnicodeには収録されているが、現行のJISには含まれない。 拡張新字体の例正字拡張説明鷽 鴬 「鷽」(ウソ)と「鶯」(ウグイス)は全く別の鳥であるが、拡張新字体では同字になる(ただし、一般的には鴬は鶯の拡張新字体として用いられることが多い)。中国の簡体字では「鸴(鷽)」「莺(鶯)」となっている。 鶯 攪 撹 「表外漢字字体表」では「攪」を印刷標準字体とし、「撹」を簡易慣用字体とした。 摑 掴 簞 箪 瀆 涜 儘 侭 中国の簡体字は「尽」(「盡」の簡体字と同じ)。 藪 薮 蠅 蝿
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