拡大に伴う不協和音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 19:33 UTC 版)
2000年以降、旧共産圏構成国への拡大を続けている。しかしながら、2010年以降これらの国の中に独裁ともいえる強権的な政権が生まれ、「法の支配」を逸脱する行動を始めた。ハンガリーではオルバーン・ヴィクトルが長期政権を築き、司法・メディア・教育機関への介入、シリア難民の受け入れ拒否、同性愛禁止などを巡ってEUとの対立を繰り返している。ポーランドでは2015年に「法と公正〔PiS〕」が選挙に勝利して政権を握ると、憲法違反の疑いのある法律を次々に制定し、違憲審査権を行使する憲法法廷(憲法裁判所)の掌握を進めた。これに対し、欧州委員会はEU司法裁判所に提訴。裁判所は加盟国ポーランドに対し、1日100万ユーロ(約1億3000万円)を欧州委員会へ支払うことを命じた。さらに、2021年10月7日、ポーランドの憲法裁はEU基本条約のうち、司法制度などに関する一部条項が自国憲法と「相いれない」と判断。EU法で国家主権が制約され、憲法が国内最高法として扱われない状況も違憲だと認定した。フォンデアライエン欧州委員長は「EUの法秩序の一体性に対する真っ向からの挑戦だ」として資金提供停止を示唆し、ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は「脅しだ」と反発した。2022年より、加盟国による法の支配の原則に対する違反が認められる場合に、当該加盟国へのEU予算執行の一時停止などの措置をとることができる規則が制定され、EU司法裁判所も認めた。 一方、2022年にロシアによるウクライナ侵攻が起き、ポーランドが反ロを掲げると、西側の指導者はポーランドの独裁政権を称賛し、強力に支援し始める矛盾を見せているとの指摘もある。
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