抗酸化物質と生活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 02:14 UTC 版)
次に、栄養学や食品化学的観点に立つと、酸素は保存中の食品の金属イオンを酸化することで生体内へ吸収しにくくしたり、食品の成分を変質させることで、香りや見た目を損なう。それだけでなく、植物油中の必須脂肪酸は分子状酸素のラジカル反応により、変色、固化しさらに毒性を示す酸敗と称される不都合な反応を引き起こす。このような食品としての品質劣化を防止する目的で、食物由来の食品添加物であるアスコルビン酸や α-トコフェロールが一般的に利用されている。 このような抗酸化物質は食品のみならず医薬品や化粧品の変質防止のための酸化防止剤としても利用される。また工業的には酸化防止剤の BHA や BHT およびその誘導体がゴムや合成樹脂、ガソリンの酸化による劣化を防ぐ目的で広く使われている。 酸化ストレスはヒトの多くの病気で原因の一つとして注目されており、疾患の予防や健康維持の目的で医薬品候補や栄養補給食品の候補として広く研究ないしは利用されている。たとえば脳卒中、神経変性病の治療に対する研究が顕著である。しかし、現状では酸化ストレスが病気の原因であるのかそれとも結果であるのかも不明であり、抗酸化物質は医薬分野では研究中の域を出ない。 一方、栄養補助食品の分野では多数の物質が製品化され、抗酸化物質が、健康維持や悪性腫瘍、冠状動脈性心臓病、高山病の予防の目的で広く利用されている。しかしながらいくつかのサプリメントでは、初期の研究ではサプリメントの抗酸化物質が健康を増進させる可能性があると提案されたが、後の臨床試験ではその効果が見つからない例も見られる。さらに過剰摂取が有害である可能性が報告されるものもある。
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