扶桑社発刊書の出版差し止め
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 15:14 UTC 版)
「日本会議」の記事における「扶桑社発刊書の出版差し止め」の解説
菅野完の著書『日本会議の研究』について、日本会議は2016年4月28日、「日本会議について裏付けの取れない証言を並べ、活動を貶める目的で編集されており、団体・個人の名誉を傷つける。」として、事務総長椛島有三の名で出版元の扶桑社に対し、出版停止を要求する申し入れをおこなった。とくに、「日本会議が、宗教的背景を持つ特定の人物」に関連づけられた結論については、「全く事実に反している」と主張している。また、上記申し入れ書とは別に、『日本会議の研究』に記載がある人物の代理人より出版差し止めを請求する法的文書も送付されていることを、BuzzFeed Newsの取材に対し複数の関係者が認めているという。 事務局の調査によると、『日本会議の研究』には、団体・個人について「虚実、装飾、誹謗中傷、事実誤認、印象操作、著作権侵害、肖像権侵害、プライバシー侵害など」が150か所以上存在するとされる。本文中で引用している魚住昭『証言 村上正邦』にも事実ではない記述が書かれているとしている。こうした日本会議側の主張に対し、菅野は「彼(=田久保忠衛)が正面から否定しているのは外電の記事を始め、私の仕事ではないものばかりで、私の著書については否定できていない。」「田久保氏の主張では『日本会議の研究』を日本会議の事務局が調べたら『虚実、装飾、誹謗中傷など150カ所以上』の問題箇所があったとのことですが、それは当然でしょう。当事者が読んで問題箇所がないものなんて書くはずがない。」「結局、私の本が自分たちを貶める目的で書かれたと言いたいだけの、主観的な印象論に過ぎません。」などと反論している。 同書で言及された男性により出版差し止めの仮処分の申請がされ、2017年1月6日、東京地裁(関述之裁判長)は、男性が「真実ではない」とした記述のうち1か所について、「菅野氏の説明以外に客観的な資料がなく、男性に取材していないことを菅野氏が認めたこと」、「真実でないと言わざるを得ない」として、男性に対する名誉権の侵害を認めて出版差し止めの仮処分を決定した。発行元の扶桑社に対しては、当該部分を削除しない限り販売を禁止するとした。扶桑社は遺憾の意を表明したが、同月11日に当該部分2行分を抹消した修正版を「当面の措置」として販売すると発表している。3月31日、仮処分取り消し。
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