手動写植に対する電算写植の利点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 16:04 UTC 版)
「電算写植」の記事における「手動写植に対する電算写植の利点」の解説
1960年代から1970年代にかけての手動写植に対する電算写植の利点は、以下のようなものがあった。 手動写植は基本的に文字入力と組版が一体化しており、写植機で1文字ずつ文字を入力(感材に印字)していくことで同時に組版が行われるが、電算写植では文字入力と組版を分業化できるようになった。 そのため、誤植や変更があった場合、手動写植の場合は版下を1文字単位で切り貼りする必要があり、大変な労力を要していたが、電算写植では保存しておいた組版データ上で修正を行うようになり、大幅な修正も簡単になった。 組版データを保存しておくことができるということは、版下と校正紙が切り離されることを意味し、校正紙を複数出力することなども可能になった。 歯車の動作に依存する手動機では不可能なような、複雑なデザインがこなせるようになった。 一方で、電算写植の「早く組める」「大幅に直せる」という利点は、「後で直せるから」という意識につながり、原稿を組版工程に回す前段階で綿密に行われるべき編集者の原稿整理や校正、レイアウトなどがおろそかになった(誤植・誤報につながる)という指摘も多かった。暗算による字数計算に基づく紙面レイアウトなどの、活字時代には編集者の基本とされた技能が、組版技術の進化と反比例するように衰退したともいわれる。それはDTP時代になると、かつてならばあり得なかったであろう「仮組み」(とりあえず組んでみて、レイアウトを調節する)などが行われることにつながる。 1960年代当時は文字通り全て手動でハードウェアを管理・制御する形式であった「手動写植機」であるが、1980年代には「電子制御手動写植機」となり、コマンドをフロッピーディスクに記録できるなど電算写植機に近い機能を備えるようになり、電算写植機との差はあまりなくなっていた。
※この「手動写植に対する電算写植の利点」の解説は、「電算写植」の解説の一部です。
「手動写植に対する電算写植の利点」を含む「電算写植」の記事については、「電算写植」の概要を参照ください。
- 手動写植に対する電算写植の利点のページへのリンク