戸籍一元化への取り組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 01:15 UTC 版)
中国共産党総書記の習近平政権は登場時から一定程度の戸籍制度自由化を推進してきたが、2014年7月、「戸籍制度改革をより一層推進することに関する意見」(以下「意見」)を公布し、都市と農村を一元的に管理する制度の導入を地方政府(省・直轄市・自治区)に対して働きかけた。この「意見」では、農村戸籍・都市戸籍・青印戸籍(他省戸籍保持者を当該市の常駐戸籍と同一とみなす特例措置)を廃止して、すべて「住民戸籍(居民戸籍)」とすることを求めている 。2016年9月、この「意見」に基づき全国で31の自治体が統一戸籍導入の検討に入ったことが報じられた。なお、「意見」では完全に自由な戸籍の移動が認められたわけではなく、都市規模によって自由度が異なる。中国各地で地方から流入する人口の制限を目的とした都市戸籍の取得希望者について、学歴や年齢や技術技能レベル等を点数化し一定の得点に達した人だけに都市戸籍を与える新戸籍制度が導入されている。ただし市の社会保険加入2年未満や定職、定住所が無い者は、得点にかかわらず都市戸籍から締め出される。出来るだけ若くて高い技能を持った人を都市に集めたい政策的目的のためで、中小都市への戸籍移転に門戸を広げる一方、北京、上海、南京などの大都市への移住は得点方式で門戸を狭める政策を行っている。中国政府は2020年までに31の省や直轄市で農村戸籍と都市戸籍を「居民戸籍」に一本化する目標であったが、2019年現在も議論が続いている。よく誤解されているが、現在の中華人民共和国に於いては「都市戸籍」は都市部の戸籍という意味ではなく、国から土地の貸与を受けた小作農以外の戸籍を指すため、農村部であっても都市戸籍は存在する。
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