恩給受領権者および恩給額
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 08:21 UTC 版)
(1) 普通恩給を受ける権利を有する者は、文官、武官、教育職員(公立の学校および図書館の職員など)、警察職員、監獄職員および待遇職員(官国幣社の神職、判任官以上の待遇を受ける監獄の教誨師、教師など)である。 普通恩給は、原則として、文官在職15年以上、武官在職11年以上、教育職員在職15年以上で、失格原因なくして退職した者に支給される。 そのほか、それらの公務員が公務のため傷疾を受けまたは疾病にかかり、不具廃疾となり、失格原因なくして退職したときは、法定の在職年限に達しなくても普通恩給を支給する(46条1項)。 在職年限が上記法定の年限に達しても懲戒または懲罰処分によって退職した者または在職中禁錮以上の刑に処せられて失官した者は、失格原因による退職者とみなされる。 それはその失格事由の起った時期と相連続した在職期間について恩給を受ける資格を喪失する(51条)。 文官、教育職員、監獄職員および待遇職員の受ける普通恩給の年額は、退職当時の俸給年額の3分の1ないし2分の1である。 文官、教育職員および待遇職員の普通恩給の年額は、在職15年以上16年未満に対しては退職当時の俸給の150分の50に相当する金額とし、15年を増すごとにその1年に対し退職当時の俸給年額の150分の1に相当する金額を加えた額とする。在職40年を超える者に支給する恩給年額を定めるには、その在職を40年として計算する。公務のため傷疾を受けまたは疾病にかかり、不具廃疾となり、失格原因なくして退職した者に支給する普通恩給の年額は、在職15年の者に支給する普通恩給の額と同じである。 武官の受ける普通恩給の年額は、退職当時の階等およびその在職年限が異なるにしたがって一様でなく、その金額は、恩給法別表第1号表で定める(60条以下)。 (2) 増加恩給は、公務のため傷疾を受けまたは疾病にかかり、不具廃疾となり、失格原因なくして退職した公務員および准公務員のみが受ける恩給である。 公務員は、文官、軍人(武官)、教育職員、警察、監獄職員および恩給法24条に掲げる待遇職員をいう。 准公務員は、准文官、准軍人および准教育職員である。 それらの公務員は、文官15年、武官11年など法定の年数の間在職しなくても普通恩給を受け、そのほかになお傷痍または疾病による増加恩給を受ける。 公務員の増加恩給の年額は、恩給法別表第2号表で定められる(46条以下)。 (3) 一時恩給は、文官在職1年以上15年未満、下士官以上の軍人(兵卒を含まない)在職11年未満、教育職員在職1年以上15年未満、警察、監獄職員在職1年以上10年未満、待遇職員在職1年以上15年未満で、失格原因なくして退職した場合に支給される。 それらの者は、相当の期間在職したが、普通恩給を受ける資格を有していないが、退職の際に、一時賜金として一時恩給を与えるものである。 文官、教育職員、警察、監獄職員および待遇職員への一時恩給の年額は、退職当時の俸給月額に相当する金額に在職年数を乗じた金額である。 下士官以上の軍人(武官)に支給される一時恩給の額は、恩給法別表第4号表で定められる(67条以下)。 (4) 傷病賜金は、下士官以下の軍人(兵卒を含む)のみが受ける恩給である。 公務のため傷疾を受けまたは疾病にかかり、不具廃疾には至らなくてもこのために退職した下士官以下の軍人、または退職後1年内に公務のための傷痍、または疾病のために1種以上の兵役(例 現役、予備役、後備役)を免じられた下士官以下の軍人が傷病賜金を受けることができる。 それは一時賜金である。 その額は、恩給法別表第2号表で定められる(66条以下)。 傷病賜金は、普通恩給を受ける者または一時恩給を受ける者にも支給される。 ただし増加恩給との併給はされない。 (5) 扶助料および(6) 一時扶助料は、公務員の遺族に支給される恩給である。恩給法上の遺族とは「ア 配偶者 イ 未成年の子 ウ 父母 エ 成年の子(公務員の死亡当時から重度障害の状態にあり、生活資料を得る途のない者に限る。)オ 祖父母」でありこの順に受給者が決定する。
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