性質・利用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 05:12 UTC 版)
イミダゾールは水には易溶であり、塩基性はアゾール類では最も強く、ピリジンよりも強い塩基である(共役酸pKa = 6.95、ピリジンはpKa = 5.29)。エタノールなど極性の高い有機溶媒にも易溶であるが、ベンゼンにはわずかに溶け、ヘキサンにはほとんど溶けない。遷移金属に対しては一般によい配位子となる。 イミダゾールは1位のプロトンが引き抜かれても、3位の窒素がプロトン化されても対称的な構造となり、芳香族性を崩さないまま電荷を分散安定化することができる。このため酸性・塩基性どちらでもよい脱離基となりえ、有機合成において幅広く応用されている。例えばイミダゾールをアシル化したアシルイミダゾールは求核反応を受けやすく、いわゆる活性アシル・シントンとしてカルボン酸誘導体合成に利用される。水酸基にシリルクロリドを作用させ、シリルエーテルとして保護する場合にも、イミダゾールを塩基兼触媒として加えるのが標準的処方となっている。またカルボニルジイミダゾール (CDI) はカルボニル化剤、アミドの縮合剤として有用である。 また、工業的には医農薬原料、エポキシ樹脂の硬化剤、ウレタンの硬化触媒、銅の防錆剤などとして利用される。 医薬品としては、アゾール系抗真菌剤がイミダゾール構造を含む代表的な例として知られている。また、置換基を有する広義のイミダゾール類としては、シメチジン(抗潰瘍剤)、ロサルタン(抗高血圧剤)、オザグレル(抗喘息剤)など多くの医薬が知られている。
※この「性質・利用法」の解説は、「イミダゾール」の解説の一部です。
「性質・利用法」を含む「イミダゾール」の記事については、「イミダゾール」の概要を参照ください。
- 性質利用法のページへのリンク