性質ーーー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/29 19:37 UTC 版)
塩化ウラン(IV)は吸湿性のある暗緑色の固体で、高真空下で500 ℃に加熱すると分解する。結晶中ではウラン原子は8つの塩素原子に囲まれ、うち4つの U-Cl 結合長は264 pm、他の2つは287 pmである.。塩化ウラン(IV)分子はルイス酸として作用し、非プロトン性ルイス塩基として作用する溶媒に溶解する。 プロトン性溶媒への溶解は複雑で、塩化ウラン(IV)を水に溶解させるとウランアクアイオンを形成する。 UCl 4 + xH 2 O ⟶ [ U ( H 2 O ) x ] 4 + + 4 Cl − {\displaystyle {\ce {UCl4\ + xH2O ->\ [U(H2O)x]^{4+}\ + 4Cl^-}}} [ U ( H 2 O ) x ] 4 + , {\displaystyle {\ce {[U(H2O)x]^{4+}\ ,}}} (x = 8 または 9) は加水分解を受ける。 [ U ( H 2 O ) x ] 4 + ↽ − − ⇀ [ U ( H 2 O ) x − 1 ( OH ) ] 3 + + H + {\displaystyle {\ce {[U(H2O)_x]^{4+}\ <=>\ [U(H2O)_{x-1}(OH)]^{3+}\ + H^+}}} この反応の酸解離定数 (pKa) は約1.6であり、加水分解が起こらないのはpH 0以下の強酸性のときだけである。pH が3以上でも加水分解が起こり、弱いアクアイオンの塩化物錯体が形成される。文献によれば [UCl]3+(aq) の log K の値は同時加水分解の取り扱いの困難さから −0.5 から +3 の間と推測されている。 アルコールとは加溶媒分解が生じる。 UCl 4 + xROH ↽ − − ⇀ UCl 4 − x ( OR ) x + xHCl {\displaystyle {\ce {UCl4\ +xROH\ <=>\ UCl4-x(OR)x\ +xHCl}}} 塩化ウラン(IV)はテトラヒドロフランやアセトニトリル、ジメチルホルムアミドのようなルイス塩基として作用する非プロトン性溶媒に溶解する。UCl4Lx で表される溶媒和化合物が生じ、分離することもできる。ただし、溶媒が水を含んでいると塩化ウラン(IV)の加水分解が生じ、溶媒がプロトンを引き抜いてしまうので、厳重に脱水しておく必要がある。 UCl 4 + H 2 O + S UCl 3 ( OH ) + SH + + Cl − {\displaystyle {\ce {UCl4\ +H2O\ +S\ \ UCl3(OH)\ +SH^{+}\ +Cl^{-}}}} 溶媒分子は他の配位子で置換することができる(下式では水溶液中で金属イオンが錯体を形成する場合と同じなので溶媒は現れてこない)。 UCl 4 + 2 Cl − ⟶ [ UCl 6 ] 2 − {\displaystyle {\ce {UCl4\ + 2Cl^- ->\ [UCl6]^2-}}} 塩化ウラン(IV)の溶液は空気による酸化を受けやすく、ウラニルイオン錯体を形成する。
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