急性ウイルス性髄膜炎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 02:42 UTC 版)
詳細は「ウイルス性髄膜炎」を参照 ウイルス性髄膜炎では発熱、頭痛、髄膜刺激症状、および炎症性の脳脊髄液所見がみられる。発熱は倦怠感、筋痛、食欲不振、悪心、および嘔吐、腹痛や下痢を伴うことがある。軽度の傾眠もめずらしくない。しかしながら重大な意識障害(昏迷、昏睡、高度の錯乱など)が見られる場合には他の診断も考慮する。また合併症を伴わないウイルス性髄膜炎によって痙攣発作やその他の局所的な神経症状やその他、局所的な神経症状を生じることはなく、これらが見られる場合は髄膜脳炎など脳実質障害が示唆される。ウイルス性髄膜炎に伴う頭痛は通常、前頭部または眼窩後部に認められしばしば羞明や眼球運動に伴う疼痛が認められる。大部分の報告ではエンテロウイルスが無菌性髄膜炎の75 - 90%を占めている。エンテロウイルスはピコルナウイルス科に分類されておりコクサッキーウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルス、ヒトエンテロウイルス68 - 71を含んでいる。 ウイルス性髄膜炎の発生率は報告されない例も多数あることから正確に知ることはできないが米国では年間75000例程度と考えられている。温暖な地域では夏から初秋にかけてエンテロウイルスや節足動物介在性ウイルス(アルボウイルス)感染が増加するのに伴ってウイルス性髄膜炎の発生率も増加する。ピーク時は10万人あたり1ヶ月に約1例となる。ウイルスの流行はHIVウイルスや単純ヘルペスウイルスは季節性はない。夏と初秋はアルボウイルスやエンテロウイルスが流行する。秋や冬はリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスが流行し、冬や春はムンプスウイルスが流行する。 鑑別診断では細菌性髄膜炎やその他の感染性髄膜炎(マイコプラズマやリステリア、リケッチアなど)、髄膜近傍の感染症または部分的に治療された細菌性髄膜炎、培養が陰性となりうる非ウイルス性髄膜炎(真菌性、寄生虫性、梅毒など)、癌性髄膜炎、非感染性炎症性疾患(サルコイドーシス、ベーチェット病、ブドウ膜炎症候群など)による二次的髄膜炎である。特に髄液検査で多核白血球優位の細胞数増加が認められた時は細菌性髄膜炎や髄膜近傍の感染症を考慮するべきである。 成人ではウイルス性髄膜炎の予後は極めて良好であり完全に回復することが多い。まれに数週から数ヶ月にわたる持続的な頭痛、軽度の精神機能障害、協調不能、全身性無力症をうったえる患者がいる。 アルボウイルス アルボウイルスとして知られるウイルスにはウエストナイルウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルスなどが知られている。
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