思想対策協議委員
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思想対策協議委員が政府に設置される。きっかけは帝国議会の思想対策決議である。衆議院で提案理由の説明した山本梯二郎議員は国民教育の確信を強調し、国体観念と道義観念の注入と、危険思想の持主に大斧鉞を加える勇断を政府に要求する。斉藤実内閣は「中正堅実なる思想対策の確立を期するため」思想対策協議委員の設置を閣議決定する。その委員会は内務・司法・陸軍・海軍・文部の各省の勅任官らで構成される。陸軍省は教育振興のため国体観念宣揚などを要求する。 思想対策協議委員は8月に思想対策方針具体案を立案し、閣議決定をみる。それは「積極的に日本精神を闡明しこれを普及徹底せしめ国民精神の作興に努むることをもってその根幹となすも、一面において不穏思想を究明して、その是正を図ること、また緊要なり」といい、具体的には国民精神文化研究所の拡充や各道府県での国民精神文化講習所の新設などを計画する。途中案では、日本精神の聖書経典とも称すべき簡明平易な国民読本を国民精神文化研究所研究部で編纂し広く普及させることが企画される。これは委員会で立ち消えるが、ここに後の『国体の本義』の萌芽があったことは注目される。
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