思わざる勝利
思わざる勝利(Victory Unintentional)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/02 03:35 UTC 版)
「ロボットの時代」の記事における「思わざる勝利(Victory Unintentional)」の解説
ガニメデ基地にいる「人類」と無線通信を行っていた「木星人」。あるときから通信が途絶えた。その理由は、通信相手は木星人の同類と思っていたのだが、人類つまり「うじ虫のような生物」だと分かったかららしい。敵対的な木星人が「力場」を発明し、木星圏外へ進出してきたら人類は滅亡する。誇り高き木星人と交渉するための使節として、3体のロボットが建造された。それらは真空から超高圧にも耐え、超低温も金属の溶ける温度も平気で、どんな電磁波や毒物にも侵されないという、頑丈さが取り柄のロボットだった。もちろんデータを正確に記録すること、相互に会話することもできた。ロボットたちは宇宙船に乗り、木星の表面へと降下していった。 着陸するとすぐに、木星人の軍隊がやってきた。それらはロボットに熱線を浴びせてきた。だが氷点下七十度の環境における熱線など、ロボットにとっては身体が温まるほどの効果しかなかった。次に木星人は、毒ガスを浴びせてきた。木星で毒とされるのは酸素なので、ロボットはへっちゃらだった。さらに高圧電流で攻撃してきたが、これも平気だった。やがてガニメデ基地との無線コードを知る木星人が現れて、ロボットたちに通信してきた。その内容は「うじ虫の存在には我慢できない」だ。両者が対峙して時間が過ぎるなか、木星人は自分たちの強大さを見せつけるために、ロボットに短時間の滞在を許すと告げた。木星人が言うところの人口1000万人の「小さな町」は、アンモニアの湖のそばにあった。湖の底を調べに行った1体のロボットは。怪物のような生き物の死骸を引きずって出てきた。噛みついてきたので、仕方なく頭を叩いたら死んでしまったとロボットは謝った。町に入るころから、木星人の高官も同行するようになり、ロボットを「おまえたち」と呼ぶようになった。「寝る時間が来た」という木星人に対して、ロボットは「われわれは眠らない」と答える。木星製の車から降りようとして、車体を突き抜け壊してしまう。高熱処理をしている工場では、溶鉱炉へ平気で入っていく。生物実験室の微生物は、ガンマ線放射で殺してしまう。真空にも耐え、外気温にかかわらず体温を調整できる。木星人高官は時間をくれと言う。しばらくして戻ってきた高官が言った。「尊いお方よ。木星は平和を望んでいます」。 発進した宇宙船の中では、木星人が敵対的から友好的へと180度の方向転換をした理由を、ロボットたちは話し合っていた。結論として、ロボットたちの無敵さに恐れをなしたと思われた。でもロボットたちは言い忘れていた。自分たちが「ロボットであり、人類ではない」ということを。
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