御茶ノ水セントラルビル
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御茶ノ水セントラルビル | |
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御茶ノ水セントラルビル(2006年5月撮影)
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施設情報 | |
所在地 | 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 |
座標 | 北緯35度41分55.15秒 東経139度45分59.55秒 / 北緯35.6986528度 東経139.7665417度座標: 北緯35度41分55.15秒 東経139度45分59.55秒 / 北緯35.6986528度 東経139.7665417度 |
状態 | 解体済 |
建設期間 | 1980年3月 - 1983年2月 |
竣工 | 1983年3月 |
開業 | 1983年4月 |
解体 | 2010年 |
用途 | オフィス(事務所・駐車場) |
地上高 | |
最頂部 | 90.0 m |
高さ | 81.43 m(GL~軒高) |
各種諸元 | |
階数 | 地上18階、塔屋2階、地下3階 ※登記簿上は地上20階、地下3階 |
敷地面積 | 9,526.18 m²
※登記簿記載の地積は9,540.58m2
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建築面積 | 5,750.07 m² |
延床面積 | 57,486.83 m² [2]
※登記簿記載の床面積は57,254.61m2
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構造形式 | 鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄筋コンクリート造) |
エレベーター数 | 高層用:210m/分、24人乗6台 低層用:140m/分、24人乗6台 非常用:120m/分、17人乗1台 人貨用:45m/分、30人乗1台 厨房用:45m/分、11人乗1台[1] |
駐車台数 | 168台 |
関連企業 | |
設計 | 松下研究室、岡田新一設計事務所、日立建設設計 |
施工 | 日立本社ビル新築工事共同企業体(鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組) |
所有者 | 日立製作所 →森トラスト総合リート投資法人 →森トラスト |
御茶ノ水セントラルビル(おちゃのみずセントラルビル)は、かつて東京都千代田区神田駿河台にあったオフィスビル。開業当初の名称は日立本社ビルで日立製作所が本社を置いていたが、2006年(平成18年)に森トラストが取得した後に改名された。
概要
元は岸記念体育会館があったところで、1964年(昭和39年)に同会館が渋谷区へ移転した跡地に建設された。真下には地下鉄丸ノ内線と千代田線が通っており、設計・建設には細心の注意が払われた。1983年(昭和58年)3月に竣工し、日立製作所が新丸ノ内ビルヂングから就業人員3,400人規模の本社機能を移転させた。外壁は白の磁器タイルで仕上げられていた。防災センターと中央監視室は別々の場所に設置され、特別避難階段・屋外避難階段もそれぞれ2つずつ設けられるなど多重化施策が採られた。当初から光通信システム(光総合情報システム)である「Σネットワークシステム」が採用され[3]、IDカードによる社員食堂の精算システムも早くから導入された。3階には通信衛星用の直径5.6mのパラボラアンテナが設けられ、本支社間の通信に利用された[2]。
建築物としては、3階以上の基準階平面が東西66.0m、南北33.0m、6.0mスパンで躯体が構築されており、基準階階高3.9m、天井高2.6m、基準階面積は2,157.62m2、延床面積は57,486.83m2あった。空調設備の熱源設備として、低層階用に空気熱源ヒートポンプ1台と蓄熱槽、高層階用に空気熱源ヒートポンプ1台と二重効用吸収式冷温水ユニット2台を採用する。また、電気設備として、22kV×3回線(スポットネットワーク方式)の受変電設備と、非常用に自家発電のディーゼル発電機(出力1,000kV:10時間運転可能)を備える[1]。照明設備は、事務室は蛍光灯40W×2灯用下面開放型が採用され、500ルクスの照度が保たれると共に、ビル用コンビュータによるタイムスケジュール点滅制御と、窓際の昼光を有効活用するための昼光センサによる自動点滅制御を組み合わせて、省エネルギー化が図られていた[4]。
2003年(平成15年)に、日立製作所の財務体質改善の一環として、本建物を日本総合トラスト投資法人(現・森トラストリート投資法人)に400億円で売却のうえ、賃借契約を結んで引き続き本社として使用を続けていたが[5]、2006年(平成18年)に本社機能を日本生命丸の内ビルと秋葉原ダイビルに移転した[6]。日立製作所の退去に伴い、同投資法人はビルの運用方針を検討していたが、内装にアスベストを含んだ吹き付け材が使われていたため[7]、2006年(平成18年)5月に建替えを前提として森トラストに420億円で譲渡され[8][5]、2008年(平成20年)10月31日に解体工事を着工、2010年(平成22年)に解体された。
跡地には、高さ110mの超高層ビル「御茶ノ水ソラシティ」が建設された[9]。

建物概要
以下は、森トラスト総合リート投資法人(現・森トラストリート投資法人)のプレスリリース[5]、および岡田新一設計事務所の作品リスト[1]等による。
- 所在地:東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
- 階数:地上18階、塔屋2階、地下3階(登記簿上は地上20階、地下3階)
- 主体構造:鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄筋コンクリート造)
- 地下3階 - 2階:鉄骨鉄筋コンクリート造
- 3階 - 20階:鉄骨造
- 駐車場台数:168台
- 最高高さ:90.0 m
- GL~軒高:81.43 m
- GL~基礎下:7.81 m
- 敷地面積:9,526.18 m2(登記簿記載の地積は9,540.58 m2)
- 建築面積:5,750.07 m2
- 延床面積:57,486.83 m2(内駐車場5,315.82 m2、登記簿記載の床面積は57,254.61 m2)
- 建築主:日立製作所
- 設計管理:松下研究室、岡田新一設計事務所、日立建設設計
- 建築施工:日立本社ビル新築工事共同企業体(鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組)
- 設備工事:日立プラント建設
- 建設期間:1980年(昭和55年)3月 - 1983年(昭和58年)2月(36ヶ月)
- 竣工:1983年(昭和58年)3月
- 開業:1983年(昭和58年)4月
- 外装
- 昇降設備:日立製作所製[10]
- 役員用(非常兼用):150m/分、1,150 kg(17人乗)1台
- 人貨用(非常兼用):120m/分、2,000 kg(30人乗)1台
- 低層用(B2 - 11F):150m/分、1,600 kg(24人乗)6台
- 高層用(10 - 17F):210m/分、1,600 kg(24人乗)6台
- 厨房用(B2 - 4F):45m/分、750 kg(11人乗)1台
- ゴミ処理設備:新明和工業
- 電気設備
- 自家発電設備:ディーゼル発電機(出力1,000kV:10時間運転可能)
- 蓄電池設備:1,000Ah(10時間半)
- 電話機設備:電子交換機
脚注
- ^ a b c 日立本社ビル - ウェイバックマシン(2021年9月6日アーカイブ分)、株式会社岡田新一設計事務所
- ^ a b 森喜則、今吉賢一郎『ビル紳士録』毎日新聞社、1992年9月、42-43頁。doi:10.11501/13324779。ISBN 4-620-30885-4。
- ^ 「Σネットワーク」『OAシステム―設計・構築マニュアル』、日本工業技術センター、1983年8月、341頁、doi:10.11501/12689251。
- ^ 横山義和「コンピュー夕制御による日立本社ビルの照明」『照明学会誌』第68巻第4号、照明学会、1984年4月1日、No.763、doi:10.2150/jieij1980.68.4_plate1。
- ^ a b c 『資産の譲渡(契約締結)に関するお知らせ(日立本社ビル)』(プレスリリース)森トラスト総合リート投資法人、2006年5月11日 。
- ^ 『日立製作所本社の移転に関するお知らせ』(プレスリリース)日立製作所、2003年11月13日 。
- ^ 「テナント転出後の日立本社ビルに売却など三つの選択肢」『日経クロステック』2006年2月13日。
- ^ 『森トラストグループ2007年3月期業績報告』(プレスリリース)森トラスト、2007年5月24日、3頁 。
- ^ 「御茶ノ水大改造、日立本社跡地に「ソラシティ」オープン」『日経電子版』日本経済新聞社、2013年4月20日。
- ^ 『BE建築設備』18頁による。岡田新一設計事務所の作品リスト「日立本社ビル」の資料とはエレベーターの用途・速度が若干異なる。
参考文献
- 山上和夫、早川太平「日立本社ビル」『BE建築設備』昭和58年7月号(第388号)、建築設備綜合協会出版部、1983年7月1日、11-18頁、doi:10.11501/3223841。
外部リンク
- 御茶ノ水セントラルビルのページへのリンク