従来館との相違点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:07 UTC 版)
「シネマコンプレックス」の記事における「従来館との相違点」の解説
シネマコンプレックスは、前述の定義以外にも従来の劇場と比べて次のように異なる点がある。ただし以下に挙げる事項は、全てのシネマコンプレックスに当てはまるものではない。逆に、従来館でもこれらの特徴を取り入れた例もある。 劇場構造 従来館に比べて、劇場の床の傾斜が大きいスタジアムシートを採用している。 また従来館では、劇場の扉を二重扉にして遮光をすることが多かったが、シネマコンプレックスでは扉の前に壁を設けたり、扉をスクリーンに対して垂直に設置したりして遮光をしている。二重扉の場合、2つの扉が同時に開くとスクリーンに余計な光が入ることがあるが、シネマコンプレックスの構造だと、どのような場合でもスクリーンに余計な光が届くことがない。 これらの構造と全席座席指定を採用することにより、シネマコンプレックスでは快適性を謳っている。なお、地域の火災予防条例やバリアフリー関連の制約により、異なる構造のシネマコンプレックスもある。 収益構造 従来館の場合、入場料収入を主な収入源としているが、シネマコンプレックスは入場料だけでなく、飲食物にも収入源としてのウェイトを置いている。具体的には飲食物の客単価が従来館は152円程度である一方、シネマコンプレックスは250円程度と1.6倍以上に見積もっている。 そのため、従来館では市販の菓子類を販売し、飲食物の持ち込み制限も緩やかな場合が多かったが、シネマコンプレックスでは、できたてのポップコーンやチュロス、お菓子の量り売りなど、市販の菓子とは差別化できる物を販売しており、シネマコンプレックス以外の飲食物持ち込みが禁止されている。また、座席にカップホルダーを設置し、売り上げ向上を図っている。 上映設備 従来の映画館は映写機2台を自動で切り替える全自動映写機を採用することが多かった。 それに対し、シネマコンプレックスは映写機1台で上映を行うノンリワインド映写機を採用する場合が多かった。シネマコンプレックスの場合、立ち見を許していないため、1スクリーンの座席数以上の集客が見込める上映作品では入場できない観客が出る恐れがある。そこで、複数スクリーンで1つのフィルムを同時上映する「インターロック」と呼ばれる仕組みが採用された。インターロック上映に対応しているのがノンリワインド映写機だったため、シネマコンプレックスでの採用が多くなったと考えられる。現在は、デジタルシネマプロジェクターが普及したため、このようなノンリワインド映写機を設置していない劇場も多い。 上映スケジュール レイトショーは従来、週末や特別興行のみに行われていたが、シネマコンプレックスでは年間を通して行っている場合が多い。 従来館の場合、駐車場が設けられていないこともしばしばあった上に、繁華街に建設されることが多かった。そのため、終電による公共交通機関の運行時間帯を超える深夜上映スケジュールは、編成しづらい環境であった。しかし、シネマコンプレックスはショッピングセンターとしての駐車場が併設されており、また、郊外にあり利用客の住居に近い立地でもある。そこで、終電の時間に縛られない上映時間の設定を行うようになった。
※この「従来館との相違点」の解説は、「シネマコンプレックス」の解説の一部です。
「従来館との相違点」を含む「シネマコンプレックス」の記事については、「シネマコンプレックス」の概要を参照ください。
- 従来館との相違点のページへのリンク