建設と保守
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 22:42 UTC 版)
風力発電機の設置工事に必要な期間(工期)は、規模や環境にもよるが、概して他の発電方式よりも短い。1基では通常3〜4ヶ月とされる。20基程度では10〜11ヶ月、50〜100基程度の大規模な集合型風力発電所でも1〜2年ほどの例がある。デンマークの沖合6-15kmに2MW基を80基、合計160MWを建設した実例では、現場での建設作業は約半年、製造から含めても約1年半で済んでいる。これは他の大規模集中型発電所(原発や地熱発電所など)に比べると格段に短い。これは需要構造の変化への対応や機器の更新を容易にする他、工事期間中の利子も低く抑える効果がある。例えば、下記のような利益が得られる。 集中型発電所では工期が長い分、将来の需要増加の可能性を見越して常に多めに設備を建設しておく必要があり、また一基当たりの容量が大きい分、見込み違いによる無駄も多くなりやすい。しかし風力のような小規模分散型電源を用いる場合は、比較的短期かつ小さい単位での増設や移設が可能である。 定期保守や修理に要する期間が短い(さらに多くの場合、個々の設備ごとに時期をずらして行うことが可能である)ため、系全体の稼働可能率をその分高くできる。 大規模な集合型風力発電所では、複数の工区に分けて順番に建設・稼働開始させ、意図的に将来の機器の更新時期をずらす場合がある。これによって機器の更新時期でも集合型風力発電所の大部分は稼働を続けることができ、需要の変化などによる財務リスクも抑制できる。また風力発電機は現在でも活発に技術開発が行わ れており、毎年のように性能が向上した機種が登場している。このため風力発電機を段階的に建設することで、後で着工・稼働開始する工区になるほど、より高性能の機種を導入できる利点がある。 ただし、工事に先立って風況調査などにある程度の準備期間が必要になる。また近年の需要急増により、納期が1年を超える例も見られる。 保守については、一般に風力発電機は大規模集中型発電所(原発・大型火力など)に比して修理や点検が比較的容易であり、必要な時間も短くできるとされる。ただし日本の場合は2008年時点で風力発電機の8割程度が輸入品であるため、修理部品などは海外から取り寄せる場合が多くなる。そのため部品が届くまで数ヶ月かかることがある。
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