幻のポールポジション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/29 19:35 UTC 版)
「コジマ・KE007」の記事における「幻のポールポジション」の解説
F1世界選手権イン・ジャパンは10月22日に開幕し、金曜日に2回(午前・午後)、土曜日に1回の予選が行われた。金曜午前の第1セッションで長谷見は徐々にペースを上げ、全体の4番手タイムとなる1分13秒88を記録。セッティングが確認できたので、走行を途中で切り上げる余裕もみせた。無名地元チームの快走はにわかに注目され、セッション終了後には急遽記者会見が行われた。この席では外国人記者が小嶋や長谷見に向かい「どこのメーカーがバックについているのか?ホンダか、トヨタか、日産か?」と尋ねる場面もあった。グッドイヤータイヤのマネージャーは「ワンラップスペシャルタイヤを使うのは卑怯だ」と憤慨したが、長谷見のタイムはレース用のソフトタイヤで残したものだった。 午後の第2セッションでは予選用スーパーソフトタイヤを装着。マリオ・アンドレッティ(ロータス)、ジェームス・ハント(マクラーレン)、ニキ・ラウダ(フェラーリ)の3名をマークし、彼らのスリップストリームを利用してポールポジションを目指す作戦を採った。長谷見はタイミングを見計らってコースインし、ホームストレートでアンドレッティ、ヘアピン立ち上がりでハントのスリップストリームに入るという理想的なアタックラップをものにする。長谷見はのちに「もう、後にも先にもない完璧なスリップだった」と語っている。 チームの手動計測では、コース中間部のヘアピン通過時点のタイムは午前よりも1秒以上速く、1分12秒台突入は確実視された。しかし、ホームストレートへ向かう最終コーナーを高速旋回中、突然左フロントがガクッと落ちるような衝撃を受け、操縦不能となってアウト側のタイヤバリアに激突した。長谷見は当時の記憶からクラッシュ時の速度を250km/hと見積もっている。奇跡的にドライバーは無傷で済んだが、マシンは左フロント周囲を大破した。 コジマはスペアカーを持っていなかったため、第2セッションの残りと翌日の第3セッションは不出走となった。それでも第1セッションで残したタイムにより、日本勢最高の10番グリッドを獲得した。ポールポジションタイムはアンドレッティが第3セッションで記録した1分12秒77だった。
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