工夫と規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 13:57 UTC 版)
「ディフューザー (自動車)」の記事における「工夫と規制」の解説
レーシングカーの空力設計においては、抗力(ドラッグ)の発生を抑えつつ、いかにダウンフォースを稼ぐかというテーマが追求されている。F1マシンの場合、フロントウィング、リアウィング、フロア(ディフューザー)でそれぞれ1/3ずつダウンフォースを発生しているが、フロアは抗力の発生量が少なく最も効率が良いため、開発上の重点項目とされている。 ディフューザーは容積が大きいほど気流を多く速く流すことができるが、急角度で跳ね上げると表面から気流が剥離し効果が減少してしまう。最適な拡散角度は約9.5°と言われ、なだらかに高い位置まで傾斜することが望ましい。 路面との間隔が狭いほどベンチュリ効果が高まるため、レーシングカーの車高は一般車よりも低く設定されている。また、車高を一定に保つため、サスペンションのストローク量を減らし、硬いスプリングで車体の上下動(ピッチング)を抑え込んでいる。 レースカテゴリによっては、車高を上げさせるため、アンダーパネルの中央に木板(スキッドブロック)の装着を義務付けるステップドボトム規定が導入されている。スキッドブロックが路面を擦って規定値よりも薄くなると、レース後の車検で失格となる。2007年のフォーミュラ・ニッポン最終戦では、小暮卓史がスキッドブロックの厚さ違反でレース後に失格となり、獲得したはずのシリーズチャンピオンを逸した。また、レーシングカーではコーナリングスピードを抑制するため、レギュレーションにより縦横の幅や高さが規制されている。 フォーミュラカーは露出したタイヤ周辺の渦を避けてディフューザーの効果を高めている。リアエンドを絞り込んだデザインにして後輪との間に空間を作り、ディフューザー上面を通過させ、ディフューザー内部からの排出を増強し、床下のダウンフォース発生量を増す効果である。このリアエンドの絞り込みは、コカ・コーラの瓶に例えて「コークボトル」と呼ばれた。コークボトル部分に気流を誘導するため、サイドポンツーンは年々縮小されサイドポッドと呼ばれるようになった。ラジエターや排気集合管、ギアボックス、リアサスペンションなどの内蔵部品も空力的要請によりコンパクトにデザインされる。
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